「彼氏以外にも好きな人が2人いる。自分自身はこの状況を楽しんで過ごしているし、結婚も焦ってはいない。しかし友達には結婚をしないことを指摘されてモヤモヤ。さらに父親や彼氏にも現状を話せないため、後ろめたい気持ちがある」。そんな悩みを抱える27歳の女性に、恋バナ収集ユニット「桃山商事」の清田代表が「1人の人と結婚するのが当たり前」という考えとの向き合い方をロジカルに解説してくれます。

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お悩み
 現在、27歳です。24歳くらいから1人の人とお付き合いしながら、2人ぐらいの男性を同時に好きでいる、といった状況が続いています。彼氏は1人だけですが、ほかの2人のうちの1人は彼氏とはできないビジネスの話をします。もう1人はキスフレ(キスだけをする友達)で、居心地がいいから一緒にいます。思いを3等分しているのではなく、3人ともそれぞれ100%の気持ちで好きなんです。

 私は恋愛を人生のエッセンスだと思っています。恋愛のおかげで身なりに気を使ったり、「次は彼氏(や好きな人)と何をしよう、どこへ行こう」などと考えたりして、楽しく過ごすことができています。仕事に熱中していて、誰か1人と付き合うことによって、恋愛に振り回されたくないんです。恋愛で病んだり、悩んだりしたくありません。結婚という形にもとらわれる必要はなく、将来いいパートナーがいれば、一緒にいればいいと思っています。

 一方で、周りの友達は誰か1人と付き合って結婚していくのが当たり前と考えています。そのため現状を伝えて引かれるのが怖く、友達には話すことができません。

 また、友達から「彼氏と結婚しないの?」と聞かれるたびに「1人に絞って結婚する必要があるのか」とストレスを感じます。「まだ考えてない」と適当ににごすと、「いいよね、自由で」なんて言われて、さらにモヤモヤとします。結果、友達とは仕事の話だけするようにしたり、仕事の話をしない友達とは疎遠になったりしていて、友達がどんどん減っていると感じます。

 家族に関しては、母には恋愛の現状を伝えて理解してくれていますが、父には言えません。父のことは大好きで、仲の良い関係です。だからもしパートナーについて伝えるなら、1人に絞ってから「この人と結婚するよ」ときちんと言って、悲しませたり驚かせたりしたくないという思いもあります。

 また、彼氏以外の2人は彼氏の存在を知っていますが、彼氏には2人の存在を知らせていないので、そのことも後ろめたいです。私はどうすればいいでしょうか。(27歳、商社、S美)

気持ちの依存先を複数用意しておく

 自分が何を欲し、どんなことを重視しているかをしっかり把握した上で、それを満たすような人間関係を構築してきた一方、恋人に対する罪悪感や、周りの人の価値観との相違などが悩みの種にもなっている……。これがS美さんの現在地ではないかと思います。

 相談文にはS美さんの率直な思いが書かれています。恋人関係、ビジネスの話ができる相手、キスフレと、3人に対する気持ちはそれぞれ別ジャンルのもので、どれも真剣な交際であることが伝わってきます。また、気持ちの依存先を複数用意しておくことにより、恋愛の緊張感を味わいつつも、心身のバランスを崩して仕事や生活が立ち行かなくなってしまうのを防ぐことができています。

 もちろん同時交際によって人間関係がこじれるリスクや、裏切り行為と受け取られて彼氏を傷つけてしまうリスクなどは存在しますが、S美さんにとってそれは何度も考えてこられた問題だと思うので、以後もその前提の上で話を進めます。

 脳性まひの身体を持ち、「当事者研究」という分野を切り開く東京大学先端科学技術研究センター准教授の熊谷晋一郎さんは「自立とは依存先を増やすこと」と述べていますが、S美さんの試みはまさにそれを地でいくものではないかと感じます。