リーダーとして活躍する女性に、組織やチームをけん引するヒントを聞くこの連載。今回紹介するのは、家庭料理のテイクアウトサービスを提供するマチルダ代表の丸山由佳さん(32歳)です。丸山さんは実は、かつて上司から「チームづくりが苦手」というフィードバックをもらったことがあるほど、人と関わることが苦手な性格。後編では、そんな彼女が経営者になった背景や初めての起業で挫折した経験を経て、リーダーとして大切にしている価値観などを聞きました。

【前編】家庭料理をテイクアウト 出産を機に起業した32歳
【後編】創業後即撤退で学んだ限界 弱み補うためにやったこと ←今回はココ

25歳で妊娠したときはキャリアへの不安があった

 丸山さんは大学を卒業後、米国で1年間のインターンシップを経て、2014年に新卒で財務情報配信や経済ニュースメディアを手がけるユーザベースに入社し、法人営業を担当しました。その後、25歳で第1子が誕生しています。妊娠中は「キャリアの足かせになるかもしれない」という複雑な思いがあったといいます。

 「25歳で出産するのも、正直早すぎたかもしれない、という焦りがありました。しかし、出産をして子どもの顔を見たら、『もっと早く出会いたかった!』と思ったほど。感動する気持ちが不安な気持ちに勝りました。子育てをすることで視野が広がり、むしろキャリアの選択肢も増えたように思います。一方で、子どもを持つ当事者になったことで、女性の、特にワーキングマザーは子どものために、フルタイムで仕事するなどを諦める場合もあることを知り、子どもの存在を手放しで喜べないことが少なくない、という課題をより実感しました。

 子どもを出産するまでは『起業をしたい』と具体的に思ったことはありませんでした。しかし、この事実に目を背けず、みんなで子育てを応援できる社会をつくりたいと思い、18年に子育ての課題に向き合う事業で起業しました」