何かを成し遂げた女性は、華々しいキャリアで順風満帆に見える。でも実は、見えないだけで、思い通りにいかず悔しくて、泣いて、もがいて、落ち込んで……「失敗だらけの道」を歩んでいるのかも。先輩たちの生々しい失敗談に、転機の乗り越え方、転び方、失敗を最高の糧にするヒントを学ぶ連載。今回は、スマートフォンやタブレットによるキャッシュレス決済サービスなどを行うhey取締役の佐俣奈緒子さん(37歳)の失敗図鑑(上編)です。
佐俣奈緒子 夫婦で大黒柱交代「35歳までに2人産む」 ←今回はここ
hey佐俣奈緒子「女性のキャリアに産み時なんてない」
今でこそ、一般的になったオンラインでの決済サービス。その草分け的な存在である米ペイパル社の日本法人立ち上げに関わり、自らも起業してスマートフォンやタブレットによる決済サービスを提供するコイニー、heyを設立した佐俣奈緒子さん。
連続起業家として輝かしいキャリアを歩んでいるように見えるが、「もう、失敗の数が多過ぎて……。仕事でもプライベートでも、毎年、何かしらの事件が起こっています」と笑う。
ビジネスと3人の子どもの出産・育児を同時並行というパワフルな日々だが、「失敗は引きずらない」のが、佐俣流だ。今回は、特に、妊娠・出産のライフイベントとキャリアの築き方についての失敗を聞いた。
佐俣さんは1983年生まれ。高校時代に米国へ留学し、帰国後は京都大学に入学。大学時代は周囲の友人たちの影響で、ベンチャーキャピタルに興味を持ち、内定ももらっていた。
しかし、「ベンチャーキャピタルは、新卒の私が果たして行くべきところなのだろうか」という迷いが生じて辞退し、大学を休学した。その間、東京のベンチャーキャピタルでインターンシップなどを経て、米ペイパル社に入社した。
プライベートでは、27歳で結婚。佐俣さんの夫は、独立系ベンチャーキャピタルの代表として活躍している佐俣アンリさん。「ベンチャーキャピタルを目指す就活仲間」として知り合い、数年間の交際を経て、結婚した。
「学生時代から付き合っていたので、そろそろ結婚しようという話になって。その時点では仕事はどうするか、育児や家事の分担はどうするか、という話し合いはしなかったですね。お互いにベンチャーキャピタルを目指し、仕事観や人生観が似ていたので、それほど心配はしていませんでした。でも、プロポーズから入籍までの間に、夫は当時勤めていた会社を辞めたんですよ(笑)」