もし「子どもを産まない」選択をした場合、女性の体にはどのような変化が起こるのでしょうか? 考えられるリスクやその予防策について、産婦人科医・医学博士・スポーツドクターで女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長の高尾美穂さんに話を聞きました。

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(下) 「産まない」と決める前に人生について考えて

「産まない」は、ある意味でとてもパワフルな選択

 「子どもを産まない選択は、ある意味でとてもパワフルな選択」と言うのは、女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長の高尾美穂さん。その理由について、次のように話します。

 「妊娠・出産をしない選択をした場合、健常な体の人は閉経するまで生理が止まる期間がありません。つまり、閉経するまで長きにわたって生理と付き合うことになります。生理痛やPMS(月経前症候群)、なんとなく調子が悪くなるなど、さまざまな不調に毎月悩まされる人も多いでしょう。

 一方、妊娠すると卵巣はお休み期間に入り、排卵もなくなり生理も止まる。そのため一時的に生理痛やPMSもなくなり、出産後そのままこれらの症状が改善されたという人もいます。生理痛は子宮内膜がはがれ、狭い子宮口からぎゅっと押し出されるために痛むのですが、一度出産を経験すれば子宮口が成熟し、広がるため、生理痛がなくなる人も少なくありません。

 また、子宮筋腫、子宮内膜症やチョコレート嚢胞などの病気は、妊娠・出産を経験するとリスクが下がり、改善する場合もあります」

 妊娠・出産をしない場合、子宮筋腫や子宮内膜症やチョコレート嚢胞のリスクが高くなるのはなぜなのでしょうか?