劣悪な労働環境と戦うためのキーワード6

 「見なし残業代」が含まれた給料なら、いくら残業しても「サービス残業」とはいわない? 就労時間と休日の取り方を中心に、働かされすぎるブラックな職場との戦い方を見ていきます。

1. 36(サブロク)協定

⇒社員と決めた範囲内で残業&休日出勤はOK。ただし「青天井」ではない

 残業とは、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えた時間外労働のこと。会社は労働者との協定で定めた範囲内に限り、残業や休日出勤を命じられる。「協定を結んでいない、あるいは上限を超えた残業を放置している会社も。残業が多いと感じたら、協定を確認」(嶋﨑さん)。

原則的な労働者の残業の上限

(期間…限度時間)1週間…15時間、2週間…27時間、4週間…43時間、1カ月…45時間、2カ月…81時間、3カ月…120時間、1年間…360時間

 上の表は、原則的な上限の規制。臨時的な特別の事情があり、労使で合意している場合には引き上げられるが、その場合も別途上限がある。上限以上働く状態は、違法。

2. フレックスタイム制

⇒始業・終業は自由だけれど、法定労働時間を超えたら残業になる

 始業・終業時間がまちまちなためうっかりしがちだが、フレックスタイム制でも、もちろん週単位、月単位での労働時間が設定されている。総労働時間は法定労働時間内に収める必要があり、超えると残業代の対象になる。

3. 固定残業代

⇒想定されている時間を確認! それ以上の労働には残業代が発生

 一定時間分の残業代を固定で支払う制度。ただし「何時間働いても残業代は同じ」と考えるのは間違い。「実質労働時間が決められた残業時間を上回った場合は、追加の残業代が発生します」

4. 裁量労働制

⇒何時間働いても残業代ゼロ!導入の打診には慎重に対応

 実際の労働時間にかかわらず、労使協定で定めた時間を働いたものと見なす制度。時間に縛られず働けるが、「残業代が発生しない」ため、長時間労働になるリスクも。「導入を打診された場合は慎重に。お金ではなく、労働時間が問題というのが専門家の問題意識です」

5. 残業代

⇒1日8時間を超えた場合25%の割増賃金。休日出勤手当も必須

 法定労働時間の「1日8時間、週40時間」を超えて働いた場合は、時間外労働となり、時間単価に25%分を割り増しした賃金が支給される。なお休日出勤をした場合も、35%の割増賃金が発生する。きちんと申請しよう。

6. 有給休暇

⇒正社員だけの権利じゃない!パートや派遣社員にも有休アリ

 有休取得の権利は、正社員はもちろん、一定の要件を満たせば派遣社員やパートタイマーも取得できる。「雇い入れ日から6カ月以上継続して勤務しており、かつ会社が定めた労働日の8割以上出勤すれば、取得権利が与えられます」。