失敗を成長の糧にする、しくじり克服法

 仕事上のしくじりの原因を掘り下げると、「自分由来のしくじり」「他人由来のしくじり」「コミュニケーション不足のしくじり」の3つに分類できる。自分がどんなときに失敗しやすいかを知れば、ミスを未然に防げ、たとえ失敗してもリカバリーしやすくなる。タイプ別にしくじり克服法を見ていこう。

自分由来のしくじり

例)うっかりミス、段取り間違いなど
連絡をし忘れたり、ダブルブッキングをしてしまったりと、「自分の思い込み」によってミスが発生してしまうタイプ。「作業途中で他人に目を通してもらう、何度も確認するといった、チェック態勢を整えましょう」

<<これで克服!>>
⇒間違って認識していないか二重三重にチェックする
メールの宛名や打ち合わせ日時は重ねて確認。「間違えやすい固有名詞は紙に書き、目に入る場所に貼っておくぐらい意識して」

⇒周囲を巻き込んだチェック方法を作る
「社内で会議スケジュールを共有する、重要データの入力は読み合わせをするなど、周囲にも確認してもらうようにしましょう」

⇒自分の仕事リズムや体調のサイクルを知る
午前中は頭が働かないなど、体調の波を知る。「重要作業は集中できる時間帯に。体調不良を避けるための健康管理もしっかり」

他人由来のしくじり

例)上司や取引先に仕事を割り込まれて、スケジュールが遅れるなど
いわゆる「横入り」による失敗が多いタイプは、優先順位を明確に。「上司に優先順位を確認し、仕事量が多いときは率直に相談を。『自分がどこまで仕事を引き受けられるか』を判断することもプロとして必要です」

<<これで克服!>>
⇒上司の指示を鵜呑(うの)みにせず、一度自分で考える
「例えば、精算→資料提出→会議日程調整、という指示でも、複数人が関わる日程調整を先にするなど、自分で最適な判断を」

⇒仕事の優先順位を上司に確認する
「電話を取り次ぐ、ランチの予約といった『一見、ささいなタスク』が上司には最重要という場合も。心配なら優先順位の確認を」

⇒電話では、相手の言うことをそのままメモして復唱する
「突然の電話でも『○日○時ですね』『いつもの○セットですね』など、相手の言葉を復唱してメモするとミスを防げます」

コミュニケーション不足のしくじり

例)「誰かがやってくれるだろう」と思い込んで、誰もやっていなかったなど
「説明しなくても分かっているはず」など、報連相の欠如で失敗するタイプ。「フローチャートを作って仕事を見える化すると、自分の言い忘れも含めて、コミュニケーション不足によるミスを防ぐことができます」

<<これで克服!>>
⇒相手は自分と同じと思わない
「相手が新入社員なら、『以前にも説明したから大丈夫』と自己判断せず、『前にも説明したけれど…』と念を押して確認しましょう」

⇒この人なら大丈夫と過信しない
お互いに過信すると油断につながり、ミスが発生しがち。「良い意味で他人に期待しすぎず、仕事の要所要所でチェックを」。

⇒自分の仕事を「見える化」して共有する
スケジュールの社内共有など、仕事の可視化を。「問題点を指摘してもらえるよう、社内の交友関係を良好にすることも必要」。

西 真理子
ランゲージ マジック ファクトリー
西 真理子 ICU卒業後、外資系企業数社で役員秘書を務める。現在は、秘書研修・ビジネス英語の講師を務め、グローバル対応可能な人材育成に情熱を注ぐ。著書に『愛されて仕事ができる人の「対応力」』(PHP)など。

取材・文/三浦香代子