プラスの感情で毎日がうまく回りだす

 古川さんによると、「ある習慣が続くかを決めるのは、プラスの感情(ワクワクする)を得られるかどうか。感情のプラスは思考や行動にも波及して、いいサイクルに入れます。逆に、感情がマイナス(嫌々、渋々)だと、それを打ち消すための行動(例えば酒を飲むなど)に走り、良いはずの習慣が続きません」

気分がいいと考え方が前向きになる → 何をやってもうまくいく!
気分がいいと考え方が前向きになる → 何をやってもうまくいく!

 では、朝30分を上手に使うと得られる「メンタル面」「仕事」「体調」のメリットをそれぞれ見ていこう。

【メンタル】気分が上がり、成長できる

□関連して次々とやりたいことを思いつく
□朝から気分が上がり、何をやってもうまくいく
□好きなことなら続けられて成長が感じられる

 「『仕事のために英語を勉強しないと』と始める早起きは、続きません。『好きな朝ランを続けたらホノルルマラソンに出たくなり、そのために苦手な英語を勉強しよう』と始めた習慣なら続きます」(古川さん)

【ビジネス】仕事がもっとはかどる

□時間に余裕があるので焦らず仕事に取り組める
□目覚めがいいので頭がクリアに働く
□仕事の段取りを立ててこなすので、仕事が早く終わる
□朝ごはんを食べるので午前中から全力で仕事ができる

 「朝食をきちんと食べると、日中のパフォーマンスが高く維持されます」(柴田さん)。また、「職場に早めに行けると、1日の仕事の計画を立てて重要な仕事を最初に終えられ、早く退社できます」(古川さん)。

【体調】体や肌の調子が良くなる

□よく眠っているので肌の状態が良く化粧ノリもいい
□目覚めスッキリで気分爽快
□朝型の人は食べても太りにくく、スタイルがいい
□朝型の人は病気になりにくい

 明るい時間に活動し、暗い時間には休んで体を修復するのが体のリズム。「夜型で夜遅くに食べてすぐ寝るのは、道路の修復工事中に車がどんどん来るようなもの。体はうまく修復されず、疲れも抜けません」(柴田さん)。

古川武士
習慣化コンサルタント
古川武士 大手電機メーカーなどを経て独立。成果を出すには継続が最大の課題と認識し、「習慣化」をテーマにコンサルティングや研修を個人や法人に提供。著書に『人生の主導権を取り戻す「早起き」の技術』(大和書房)ほか。
柴田重信
早稲田大学 先端生命医科学センター長
柴田重信 早稲田大学先進理工学部電気・情報生命工学科生理・薬理学研究室教授。薬学博士。「時間生物学」をベースにした「時間栄養学」の研究成果を次々と発表。近年は「時間運動学」なども研究、時間軸の健康科学をリードする。

取材・文/松岡真理