朝8時前から仕事を始めた人に「残業代」を支給! 会社を挙げて「朝型勤務シフト」を導入し、業績アップなど目覚ましい成果を上げて注目を集める伊藤忠商事で、朝早く仕事をするメリットを聞きました。

朝8時前から始業した人に「残業代」を支給

 伊藤忠商事は、2016年の3月期に大手5商社中、純利益でトップに立ち、その後も好業績を続けている。その原動力が、13年10月から導入された「朝型勤務制度」だ。

 20時以降の残業は原則禁止とする一方、8時前に始業した社員には軽食を無料で配布し、深夜勤務と同様の「残業代」を支払うようにした。始業前に効率的に準備をし、9時からは顧客対応を徹底するというのが導入の理由だが、「朝、余裕を持って1日の段取りを立てる社員が増え、残業を大幅に削減。健康経営につながりました」と人事・総務部担当者。

 「朝、社内勉強会に出席したり、アフター6に自己研鑽(けんさん)したり。個々がスキルアップの時間を持てるようになったのも、会社のプラスになっていると考えます」

仕事のルールは、「先手を打つ」

 世界各地で鉱山の開発や原料の商取引を行う「金属カンパニー」で経理を担当する長瀬咲さん。「海外とのやり取りが多く、残業もやむを得ないと思っていましたが、朝型勤務制度導入で時間の意識が高まりました。終業時間も強く意識し、残業がほとんどなくなりました」

朝に懸案事項を解決することで仕事全体のスピード感がアップしました
朝に懸案事項を解決することで仕事全体のスピード感がアップしました
長瀬 咲さん(33歳) 伊藤忠商事 金属カンパニー 金属経理室

 そんな長瀬さんの仕事のルールは、「先手を打つ」こと。「懸案事項を早めに解決し、時には仕事を依頼される前に自分から提案。すると、仕事が止まることなく、スムーズに進みます。『朝残業』でタスクの洗い出しと疑問の解決をすることで、先回りしながら仕事できます

伊藤忠商事の「朝型勤務」推進の取り組み

★深夜残業勤務と同じ「残業代」を支給
★8時前に始業した社員に軽食を無料で配る
★20時以降の残業は原則禁止、22時以降の残業は禁止に
★充実の「朝活研修」を実施

会社に起こったポジティブな変化

★20時以降の退館者は数%程度、22時以降はほぼゼロに
★タクシー代が約40%削減
★業務効率化につながり、継続的な好業績を牽引
★社員が自分時間を創出し、有効活用できるように