勉強時間だけが自己投資じゃない

 自己投資というと、スキルアップや自分磨きが思い当たる。しかし、それだけではない。「睡眠」と「運動」は、脳と体をベストな状態に保つために欠かせない最大の自己投資だ。「運動することで、認知症のリスクが半減し、健康寿命を延ばせます。この2つの投資が、人生100年時代を楽しく生きる秘訣に」と樺沢さん。

睡眠時間を1日6時間以上、確保しよう

 「睡眠時間が6時間未満だと、健康を著しく害するだけでなく、集中力や注意力といった脳の認知機能がすべて低下し、生産性もダウン。毎日6時間未満が続くと、徹夜明けと同程度の仕事しかこなせないという研究データもあります」

いつもより1時間、早く寝る

 会社員の場合、朝の起床時間をずらすことは難しいため、夜の就寝を早めて6時間以上をキープ。「翌朝、調子の良さを実感できるはず」

休日に寝だめしない

 「人の体内時計のリズムは“25時間”。朝、太陽の光で24時間に調整される。起床がズレるとリズムが狂うので、誤差は2時間以内に

ショートスリーパーは認知症になりやすい?

 「人は睡眠中に、脳内に蓄積された物質 『アミロイドβたんぱく』を洗い流す。これは認知症の原因とされるもので、短時間睡眠では排出し切れず、蓄積され続けるため、認知症になりやすいという有力な説がある。生前はショートスリーパーで知られたレーガン元大統領やサッチャー元首相も認知症でした」

運動の時間をつくり、睡眠の質を上げよう

 「運動習慣が睡眠に良い影響を及ぼす」と樺沢さん。「週150分程度の運動で睡眠の質は65%アップ。日中の眠気レベルも65%下がり、疲労感や集中力が45%改善。睡眠が深まることで、日中のパフォーマンスも大幅に上がります

1回30分、週2回以上の運動

 「30分程度の有酸素運動をすることで、直後から学習機能、記憶能力、モチベーションもアップ。つまり、頭が良くなります」

寝る2時間前からリラックスタイム

 寝る前2時間は、睡眠の質を上げる行動を。「食事や激しい運動、スマホやテレビは控え、ゆったり過ごすことで副交感神経が優位に」

今日あった楽しいことを書く

 「些細(ささい)なことで構わないので、今日の楽しかったことを就寝前に3つ書く。楽しいという感情を増やすことで、脳内をハッピーな状態に」

運動で疲れが取れる!

 「疲れているから運動を控える」のは、体にとって逆効果。「30分以上の有酸素運動をすると成長ホルモンが分泌され、疲労が解消されます。『アクティブレスト=積極的に体を動かす休息』の習慣を持つことが大切です」。

学びの自己投資は時間帯を意識しよう

 学びに最も適した時間は、起床後2〜3時間。「睡眠で脳の疲労がなくなり、頭がクリア。このゴールデンタイムを活用して資格の勉強や仕事のインプットなど、学びの自己投資を意識して。朝は夜の4倍も効率がいいといえます」。

朝の通勤時間に読書

 朝は貴重なインプットの時間。「仮に片道1時間の通勤中に読書をすれば、1カ月で3冊は読める。満員電車ならオーディオブックでも」

樺沢紫苑
精神科医、作家
樺沢紫苑 1991年札幌医科大学医学部卒業。米イリノイ大学への留学を経て、樺沢心理学研究所を設立。『神・時間術』(大和書房)ほか著書多数。

取材・文/西尾英子

日経WOMAN2019年3月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります