ソフトバンクグループ・孫正義社長の得意技は「むちゃぶり」だった!? 数々の無理難題に対応し、効率的な仕事術を極めた元秘書・三木雄信さんに、仕事で評価されるために、あえて「やらない」ことを聞きました。

「しないこと」の見極めを始めよう

 「時間=買うことができない貴重な資源」と言うのは、ソフトバンクグループ・孫正義社長の元秘書で、現在は自身も経営者である三木雄信さん。

ソフトバンクグループ・孫正義社長の元秘書・三木雄信さん
ソフトバンクグループ・孫正義社長の元秘書・三木雄信さん

 「冒頭の言葉は、実は孫社長が言っていたもの。秘書である私のミッションは、社長の時間を無駄にしないことでした」。もちろん、三木さんがお膳立てした通りに行動するような社長ではない。

 「社長自らが予定を覆し、私たちを慌てさせることも日常茶飯事。さらに、『2週間後にナスダック・ジャパン創設総会を開く。その場にベンチャー起業家2000人を集めろ』などという『むちゃぶり』まで飛んできます」

 そんななかで自分の業務をこなしながら、予定変更や「むちゃぶり」に対応することで悟ったルール。それは、「しないことを決める」だった。

 「仕事量が多い孫社長でしたが、事業は滞ることなく、どんどん成長していく。そばで観察するうちに、社長は『長いメールを書かない』『会議に最後まで出ない』など、ビジネス習慣に潜むムダを徹底して排除していることに気づきました。私もその姿勢に倣うようになったんです」

 現在も、経営者として多忙を極めながら、ほぼ残業なしで業務をこなせているという。「上司のせいで、予定外の仕事が増える一方だと悩んでいる人こそ、『しないこと』の見極めを始めましょう。あなた自身の不満がなくなる上に、仕事の効率がアップし、上司の評価も上がる。一石二鳥ですよ」

三木さんが身近で見ていて驚いた、孫社長のしないこと

1. 場所にこだわらない

→ランニングマシンで走りながら打ち合わせ!

「体調維持のために社長室にランニングマシンを持ち込み、部下との打ち合わせは走りながら……ということも。場所などにこだわらないのが孫社長流です」

2. 情報を受け身で見ない

→街のあらゆる数字で常に「ゲーム」

「街で数字を見かけると、常に、その数字が何を表しているのかと仮説を立てて、『答え合わせ』していました。社長としての数字への勘を鍛えていたんです」

3. 「できません」を許さない

→「呆然のまなざし」でプレッシャーを!

「海外出張の際、私の『日常会話程度』の英語が全く役に立たず、社長に呆然としたまなざしで『抗議』されました。このままでは職を失うと、英語学習に一念発起しました」

三木さんが「あえてやらないこと」5つ

 三木さんが効率的な仕事術を極めるために実践している「あえてやらないこと」は以下の5つ。孫社長の行動を観察して得たものもある。

1. 仕事は「完璧」を目指さない
2. 1人で10秒以上考えない
3. 細かいTO DOリストを作らない
4. 1時間単位でスケジュール管理しない
5. 仕事に「バッファ」を取らない

 次のページから、一つずつ詳しく見ていこう。