脳の力を引き出す勉強法　いつ・どこで・どうやって

「脳は受けた刺激に対して変化し続ける性質がある」と脳医学者も力説。大人の脳の性質を踏まえて勉強法を工夫すれば、何歳からでも新しいことを学び、身に付けることは十分に可能だそう！

脳の力を引き出す鍵はストレスのない勉強

　瀧靖之さんは、膨大な脳のMRI画像から、脳の発達の仕組みを解明する脳医学者。世に出回る勉強法には個人の経験則によるものも少なくないが、16万人もの脳画像を見てきた立場から瀧さんが説くのは、「脳の性質上、妥当といえる」勉強法だ。

　瀧さんがまず強調するのは、大人の脳も子供の脳と同様、成長すること。「新しいことを学ぶと、脳に情報伝達の回路ができる。その速度は大人になると緩やかになりますが、勉強を続ける限り回路は確実に増え、新たな能力を身に付けられます」

脳のパフォーマンスが変わる「好き」「楽しい」

　その際、「好き・楽しい」と感じつつ学ぶことが大切と言う。精神論ではなく、感情が記憶の定着に影響するためだ。

　「嫌だという気持ちがあるとストレスホルモンが分泌され、記憶を司つかさどる海馬や前頭前野の脳細胞が萎縮。反対に、好きだと思うとストレスが減り、脳は本来の機能を伸び伸びと発揮する。また、海馬の近くに位置して感情を司る扁桃体（へんとうたい）が、海馬の脳細胞に影響を与え、記憶の定着を強めます」

　さらに、知的好奇心が強いほど、情報の記憶・操作と高次認知機能を担う側頭頭頂部が萎縮しにくい。

　「勉強を苦行ではなく夢をかなえるツールと捉え、ワクワクしながらストレスなく学び続けることで、脳のポテンシャルは最大限引き出されます」

【人間の脳はどうなってる？ 概略図でチェック】

ここでは、海馬、偏桃体、前頭前野に注目