仕事やプライベートで誰とでもうまくやっていくために必要なのは、上手に質問する力と、言いたいことをきちんと伝える力。相手との信頼関係を深める、話し方のポイントを紹介!

人間関係を深める「質問力」

 「いい質問は、会話を弾ませ、相手との距離を縮め、『話すと楽しい』『信頼できる』と感じさせます」と言うのは、弁護士の谷原誠さん。質問力を磨くためにまず必要なのは、相手をよく観察することだ。

 「話したそうな話題には、質問を重ねて掘り下げます。話しかける前に相手を見て、余裕がある、いいタイミングかどうかも考えましょう」。質問は、ポジティブな言葉で答えられるように意識して。「この人と話すと前向きになれるという印象を残せますよ」

(イメージ画像)コミュニケーションをとっている女性
ポジティブな言葉で答えられるような質問の仕方を意識しましょう

「質問力」を高める3つのキーワード

 会話が盛り上がり、相手に信頼されるような質問は、「観察」「前向き」「具体化」の3つのキーワードで成り立ってる。前向きで具体的な答えを引き出す質問をすること、そして話すスピードや表情から、相手が望む質問を考えるのがポイント。 「答えやすい質問を投げ、返答に対してさらにいい質問を重ねて、話を盛り上げましょう」

1. 観察

 会話中は相手の表情や態度をしっかりとチェック。退屈そうなら話題を変える、身を乗り出してくる話題は掘り下げるなど、緩急をつけるのもポイントだ。

スピードや声のトーンで「話したいポイント」を察知
「人は関心のある話題や語りたいテーマになると、声のトーンが高くなり、早口になります。そのティッピングポイント(沸騰点)を見逃さず、『もっと詳しく伺えますか?』と質問すると、話が弾みます」

相手に聞かれたことは聞き返す
「週末どう過ごすの?」と聞かれたときは、相手が「その話をしたい」というサイン。自分の返答は簡潔に切り上げ、「○○さんは?」と同じ質問を返して、自分の話をさせてあげて。

例) 相手の質問「この夏はどこかに旅行するの?」
×「パリかNYかで迷っています。美術が好きなので美術館巡りをするのが目的で、どちらの街も〜(以下略)」
○「まだ迷っています。○○さんは旅行されるんですか」

質問は相手が話し終わって2秒たってから
相手が話しているときは、腰を折らないように注意を。「じっくり考えてから言葉を発するタイプの人も。話し終わったように見えても、少し待つようにしましょう」。せっかちな人は、心でゆっくり2秒数えて。

2. 前向き

 相手のポジティブな言葉を引き出す質問は、お互いに前向きな気持ちになる。「煮詰まったときに使うと、みんなの士気が上がり、雰囲気が良くなります」

ポジティブに答えられるように聞く
例えば「難しい」を「やりがいがある」など、質問を前向きに言い換えて。最後に「〜ですね」など、同意を求める一言を加える。

×「この仕事、あなたにはちょっと難しい?」
「はい、できません」
○「この仕事、やりがいがあると思わない? きっと力を発揮できるね」
「はい、頑張ってみます」

自分の希望は「いかがでしょうか?」で
人は自分で選択したことを「いい」と思う傾向がある。気難しい上司には「いかがでしょうか?」と一言付け加え、最終決断を委ねた格好に。

×「未経験ですが、○○の資格があり、お役に立てると思います。この仕事をさせてください」
○「未経験ですが、○○の資格があり、この仕事でお役に立てると思うのですが、いかがでしょうか?」

原因を探るより「解決」に導くように聞く
質問で「できない理由」を羅列させると、後味が悪くなる。「『どうしたらできる?』と聞き、解決方法を口にさせると、有意義な会話になります」

×「どうしてこんなミスをしたの?」
○「今後、どうしたら同じミスをしないようにできると思う?」

3. 具体化

 相手から具体的な答えを引き出せるような質問の内容を、工夫してみよう。ポイントが漠然としていると、相手も何を答えていいか分からず、会話が続かない。

答えの範囲を狭めて聞く
答えの範囲が広すぎる、漠然とした質問だと、答えも漠然としがち。「いくつかの選択肢から選べるように聞くなど、範囲を狭めるといいですね」

×「夏休みはどうするの?」
○「夏休みはいつ取る? 何日くらい取る予定?」

仕事の質問なら事前準備を
質問する前の準備も大切。仕事上の判断を仰ぐ質問を忙しい上司にする場合は、時間がありそうなときに切り出して。「必要な資料やデータを用意しておき、相手からの『逆質問』にしっかり答えられると、信頼感が増します」