読書は好きだし大切だと思っているけれど、最近本を読むのに疲れてしまっている、「ツンドク(積読)」が増えるばかりで読み切れない……そんな悩みを抱えるあなたに、読書についての「発想の転換」を提案します。

最小限の読み方で「生きた読書」ができる

 「私が教える京大生でも、読書のために時間をやりくりする、いわば『本に読まれている』人は少なくない。人生を豊かにするための読書で消耗するのは本末転倒。『いかに読まずに済ませるか』という発想が必要です」

 そう語るのは、京都大学教授の鎌田浩毅さんだ。「必死に読むばかりでは知識が頭に死蔵されるだけ。余裕を持って読むことで、読んだ内容が生きます

京都大学教授 鎌田浩毅さん。近著に『読まずにすませる読書術』(SB新書)がある
京都大学教授 鎌田浩毅さん。近著に『読まずにすませる読書術』(SB新書)がある

最初からじっくり読まない「絵画的読書」を実践

 通常イメージする、1ページ目から最後まで順に読んでいく読書法を、鎌田さんは「音楽的読書」と呼ぶ。これは「小説など、純粋に読むことを楽しむ本には合うけれど、ビジネス書や専門書など大半の本には全くムダな読み方です」

 必要なのは「絵画的読書」。これは美術館での絵画鑑賞のように、目次などで1冊の本の全体をまず見渡して、必要なところだけつまみ食い的に読む読書法だ。「本を頭から終わりまで読むのはムダ。1冊からは3つの知識を得れば十分と考えてください」と鎌田さん。1ページ目から読む「音楽的読書」と比べて圧倒的に短時間で読み終えられる。

 さらに、「スイスイ読めない本はそもそもあなたに向かない本」だとか。「人間は、内容の8割を既に知っているくらいのレベル感の本でなければスムーズに理解できないし、本と読者との相性というものもある。自分に合わない本はすぐやめるのが、ムダな読書をしないコツです」。空いた時間は他の本をつまみ食いするのもよし、他の活動を始めるのもよしだ。

【音楽的読書】
1ページ目から順番に読む…小説など娯楽本にはこちらが有効

【絵画的読書】
全体を見渡して必要なところだけ注目する…ビジネス書や専門書など大半はこちらが有効

 最初に全体を見てページの順番を無視して必要なところだけつまみ食いしていく「絵画的読書」の具体的なコツは、次のページを参考にして。