勉強には人生を変える力がある。今、働きながら学生に戻って勉強しようとする人が増えています。自分の仕事や生活の課題を学問の視点で研究できる大学・大学院進学。でも、どのように仕事と学びを両立しているの? その疑問に答えるべく、専門家や経験者の知恵をお送りします。

働きながら勉強する

 「社会人が『これからのキャリアをどうしよう』と考えるとき、選択肢のひとつとして大学や大学院に通うのは普通のことになりつつあります」と言うのは、社会人の大学・大学院進学に詳しいリクルートの乾喜一郎さん。

 「土日や夜間だけで修了できるプログラムやサテライトキャンパスの充実、給付金制度の創設*1など、ここ数年、社会人が大学で学ぶ環境の整備が劇的に進んだことが背景にあります」

*1:専門実践教育訓練給付金。国指定の専門職大学院の場合、最高で学費の70%(年間上限56万円)の補助が受けられる。2014年創設。

 とはいえ、社会人が大学や大学院に通うのはやはり大変なこと。大学院なら200万円前後のお金は必要だし、卒業に必要なレポートや論文を片手間で書くのは難しい。

 その代わり、社会人が大学・大学院で学ぶメリットは大きい。一部の大学では教員や社会福祉士などの資格が取れる。大学院なら学んだことが、すぐ仕事で実践でき、キャリアの確立に直結する。同じ問題意識を持った人たちとも出会えるし、損得抜きの学校時代の友人が生涯かけがえのないものになるのは社会人でも同じ。「皆さん、楽しいと言います。もっとも楽しくないと続きません」(乾さん)

 次のページでは、大人の学びにいい3つの理由と、大学・大学院を目指す前に知っておきたい基礎知識をお伝えします。