世代別コミュニケーション研究企画、今回は、ゆとり世代が過ごしてきた時代背景や価値観について学びましょう。「この世代と関わるのが難しい…」と感じる先輩世代は必読です。

【世代別コミュニケーション大研究】4つの記事で紹介します!
新人類・バブル世代(1959~70年生まれ)
分かり合えない人との付き合い方・バブル世代を理解する
団塊ジュニア世代(1971~76年生まれ)
メンタル強めな団塊ジュニア世代 上手に付き合うには
ポスト団塊ジュニア・草食系世代(1977~88年生まれ)
安定志向のポスト団塊ジュニア世代 理解のポイント
ゆとり世代(1989~97年生まれ)
逆算派のゆとり世代と上手に接するコツ 先輩世代は必読 ←今回はココ

【ゆとり世代】1989~97年生まれ

→出世欲がない「まったりさん」 一方、誰かがハッピーになることにやりがいも

※日経平均株価の推移グラフ(1980~2019年)は 編集部で作成。 世代の名称や年数は複数への取材に基づく
※日経平均株価の推移グラフ(1980~2019年)は 編集部で作成。 世代の名称や年数は複数への取材に基づく

 物心ついたときからリストラや倒産などの言葉を耳にしてきた、不景気しか知らない世代。少子化で競争も少なく、頑張っても見返りは期待できないと分かっているので、出世欲が薄いのが特徴だ。

 「現状で快適ならシェアリング生活で十分という『まったりさん』。そんな彼らに『ガツガツ精神』を押しつけると驚く。欲がない世代だと理解した上で接して」(マーケティングアナリストの原田曜平さん)。「表情やトーンを相手に合わせるなど、分かりやすいコミュニケーションを心がければ、相手は心を開きやすくなる」(エン・ジャパン人材活躍支援事業部の横田昌稔さん)

 一方、学校や企業でキャリアデザイン教育を受けたからか、「出産などのライフスタイルが変化しやすい女性は、理想の生活から逆算してやるべきことを見いだす人も」(世代・トレンド評論家の牛窪恵さん)。また、手探りで始まったゆとり教育のカリキュラムが確立されてからは、「自分は何をやりたいのか」などと自問自答できる有能タイプが増えてきたと若者研究の藤本耕平さん。その結果、誰かが喜ぶことにやりがいを見いだすように。

 「奉仕精神とは異なり、誰かがハッピーになれば自分もハッピーだからというシンプルな動機。『新たな人とつながる』『専門性が高まる』などの見返りもきっちり求める。そんな若者には、この仕事で誰が喜び、社会にどんな影響を与え、自分たちに得られるメリットは何かといったビジョンの共有が効く」(藤本さん)

【ゆとり世代】を読み解く3つのキーワード

1. 中学生の50%が携帯電話を持つ

 92年に生まれたゆとり世代が中学生のときに、携帯電話の保有率が半数を超える。話したい相手にダイレクトにつながる世代。

2. 少子化で競争が少ない

 89年の出生率が過去最低の1.57を記録。ゆとり教育の側面もあるが、人口が著しく減ったことで激しい競争がなくなった。

3. ゆとり教育を受ける

 学習時間と内容を減らし、強みを伸ばす経験重視型教育。2002年から絶対評価の教育に。競争心や学力低下などが指摘された。