毎日のように書く、同僚への伝言メモや仕事相手へのメール。だからこそ、受け取る人の視点に立った小さな心遣いがあるかないかで、相手に与える印象も自分の評価も大きく変わる。伝え上手になれる書き方のコツをビジネスインストラクターの鈴木真理子さんから学びましょう。今回は、電話対応後に渡す伝言メモと、伝えにくいことを伝えるメールの書き方にフォーカスします。

【伝言メモ編】「読む」より「見る」メモを目指す

 電話応対後に渡す伝言メモ。通話中は6W(いつ・どこで・誰が・誰に・何を・なぜ)3H(どうやって・いくつ・いくら)を念頭にメモを取り、必要な要件を記す。

 「メモをもらった人が必要な行動を素早く起こせるよう、簡潔に書くのがポイント。最後まで読まないと趣旨が伝わらないメモでなく、『見て即分かる伝言メモ』が理想です」

見て即分かる伝言メモ
見て即分かる伝言メモ
1. 大事なことは目立たせる 2. 時系列ではなく結論を先に 3. 丁寧すぎは厳禁、箇条書きで完結に 4. 名前はカタカナで書く 5. 曖昧な表現を避け、数字ではっきりと示す

伝言メモ5つのツボ

1. 大事なことは目立たせる
 重要度や緊急性の高い案件を伝えるときには、そのことがひと目で伝わる工夫を。「大事なポイントを囲んだり、色ペンで目立たせると、受け手も見て即、行動を起こしやすい」

2. 時系列ではなく結論を先に
 時系列で書かれた文章は、最後まで読まないと趣旨が分からず効率が悪い。まず「電話あり・折り返しを」と結論を記し、次に詳細を書くほうが、読む側は素早く理解できる。

3. 丁寧すぎは厳禁、箇条書きで完結に
 丁寧に書こうとするほど文章は長く、分かりにくくなる。「上司宛てでも『折り返し電話をしてください』というお願い部分のみ敬体にし、他は箇条書きに。『お手数ですが』などのクッション言葉も不要

4. 名前はカタカナで書く
 名前を電話で聞き取る場合、正しい漢字でなかったり、伝えた相手が漢字を読み間違えたりすることも。間違いを避け、素早く書くために、名前はカタカナ表記を基本に

5. 曖昧な表現を避け、数字ではっきりと示す
 「伝言メモは、誰が読んでも同じ解釈になる、客観的な表現で書くのが鉄則」。「本日中」を何時と受け取るかは人それぞれ。「本日18時まで」などと、数字で明確に示す

さらに差がつくワザ3つ

1. 「折り返し不要」と言われても、電話があったことは伝える
 電話の相手が、不在者にとって重要人物の場合も。「電話があったと伝えれば、不在者からかけ直す、『何度もお電話をいただき失礼しました』と相手に詫びる、などの対応が可能に

2. 主観は吹き出しで伝える
 伝言メモには基本的に事実だけを書くが、「時には『怒っていた』『焦っていた』など受け手が感じた印象も有益情報。『主観ですが』の意味を込め、吹き出しで伝える手も」

3. メモだけでなく、口頭でもフォローする
 伝言メモをデスクに置いても、気づいてもらえなかったり、書類に紛れたりする恐れも。「先ほど電話がありました」「机に伝言メモを残しました」と、一声掛ければ万全