どんなタイプの投資信託を選ぶ?

篠田さん 「A子さんの目標は、月々6万8000円を積み立て、まずは10年で1000万円をつくることでしたね。単純計算では年4%の利回りで目標額に届きますが、iDeCoは口座の開設や維持の費用が多少かかることも考慮して、年5%超の利回りを目指していきましょう。投資のリスクを抑えるには、国内と海外、株と債券といった具合に、地域と資産タイプが異なる商品をバランス良く買う【解説8】のが基本。それぞれを1つずつ買う方法もありですが、複数の資産をワンパッケージにしたバランス型投資信託なら1本で済みます」

【解説8】対象の「資産タイプ」と「地域」の分散が鍵

投資信託の投資対象は、日本や海外の株、債券、REITなど。日本と海外の資産は、値動きが連動することも多いが、全く異なる動き方をする局面もある。また、株と債券は、歴史的に見て値動きが連動することは少ない。このように、値動きの仕方が異なる資産を組み合わせると、資産全体の値下がりリスクを抑えやすい。

A子 「ワンパック! いいですね」

篠田さん 「投資信託は運用タイプによっても分けられ、市場全体の値動きに自動連動させる『インデックス型』と、投資のプロの手腕で運用する『アクティブ型』があります【解説9】。一般にアクティブ型は、インデックス型を上回る収益を狙うものですが、なかには、リスクを抑えて安定した利回りを堅実に目指すものも。そのひとつが『投資のソムリエ』。リスクコントロールをしながら、年4%程度の安定した利回りを狙う商品です。地域と資産タイプを分散しても、昨今の市場環境は、1国の株価が下がると世界全体が下がるという事態が起きています。そのため、ある程度は人の手でリスクコントロールする商品を活用するのは手です」

【解説9】運用タイプは「インデックス」と「アクティブ」がある

◆インデックス運用 目標とする指数と同じ動きを目指す 手数料:安い ◆アクティブ運用 目標とする指数を上回ることも下回ることもある 手数料:高い
市場全体の動向を表す指数をインデックスと呼ぶ。日経平均株価やダウ工業株30種などが代表的。インデックスに連動する投資信託を買うと、市場全体に分散投資したのと同じ効果がある。一方、プロがそれぞれの運用方針に基づいて、さまざまな商品から裁量し選んで運用するタイプをアクティブ型と呼ぶ。

A子 「ふむふむ、なるほど」

篠田さん 「ただこれ1本では、年利5%に届きません。そこで多少リスクを取り、国内外に広く投資する全世界株式型を組み合わせるんです。アクティブ型よりインデックス型のほうが運用中の手数料が安いので、こちらはインデックス型にします。バランス型の投資のソムリエを4割、全世界株式型のインデックス投信を6割の割合で組み、年5%の利回りを狙う作戦です」

A子 「はい! ではこの2本を毎月積み立てて1000万円目指します。10年後が楽しみ!」