知識が豊富なだけでは「お金に強い」とはいえない。私たちが目指したいのは、人生にとって有意義といえるお金の貯め方や使い方を身に付けること。何を、どのように学んでいくべきか、【家計】【税金&保険】【投資】の3つの項目について、人気FPの3人に語ってもらいました。

実力派ファイナンシャルプランナーの3人に話を聞きました。左から前野 彩さん、風呂内亜矢さん、塚原 哲さん
実力派ファイナンシャルプランナーの3人に話を聞きました。左から前野 彩さん、風呂内亜矢さん、塚原 哲さん

【家計】家計を隅々まで把握している人が一番強い!

前野さん(以下:前野) まずお伝えしたいのは「自分の現在地を知って」ということ。現在地とは正しい手取り収入と毎月の収支、年単位の支出、そして貯蓄から負債まで、自身のお金にまつわるすべての現状です。正確に把握している人はとても少ないし、洗い出すのはかなり大変。

 ただ、現在地が分かっていないと目的地に向かって歩き出せないように、家計の現状をしっかり把握しておかないと、いくら知識を得ても自分にとってベストな選択ができません。現状が分かれば、自分に合った最短距離でゴールに進むことができるのです。

風呂内さん(以下:風呂内) 読者の皆さんを見ていると、意識の高い人ほど、「自分も貯めなきゃ、投資の勉強もしなきゃ」と焦りがちですね。けれど、生涯で貯蓄が底をつく瞬間がなければ、マネープランは十分成功くらいの考えでいいと思います。

 そのために最低限チェックしてほしいのが、将来の貯蓄の見通し。今は年100万円ずつ貯められていたとしても、5年後、10年後はどうか。結婚や出産、子育てなどで生活が変われば、貯蓄ペースも変わります。そうした変化も織り込んで、将来、貯蓄がゼロにならないか、なりそうなら、どう備えるかを考える。これがマネー知識の土台になります。自分がやるべきこと、学ぶべきことが見えてくるので、自分にぴったりのお金のリテラシーが身に付きます。

塚原さん(以下:塚原) 現状や生涯について目配りをするというお2人の意見にも通じますが、お金に強いというのは、全体を俯瞰(ふかん)して判断する力があることです。

「お得なものには理由がある」と、常に意識を!(塚原さん)
「お得なものには理由がある」と、常に意識を!(塚原さん)

 例えば、ポイントが貯まるからとクレジットカードの使い方に詳しくなるのは結構。ただ、カード払いは負債です。マイナスのお金は減らし、貯蓄や資産などプラスのお金を増やすのが家計運営の大原則。

 ところが、ポイ活に夢中になり、この原則を忘れて不要なものを買い込むのは本末転倒です。ポイントや無料サービスは、カード会社にとって利益追求のツール。一見お得でも、「誰が何のために私にポイントをくれるのか」「これはムダ遣いではないか」など、全体を眺めながらお金のことを考えることが大切です。

貯まる家計をつくるには
1. お得な知識よりも、まず家計の把握を
2. 「削る」よりも「使い方を磨く」で、正しい節約を