女性の2人に1人は90歳まで生きる

 ご存じの通り、日本は世界一の長寿国。この約70年の間に日本人の平均寿命は30歳以上延びました。女性の2人に1人は90歳まで生きる時代です。

老後資金は100歳まで考える時代
老後資金は100歳まで考える時代
女性の2人に1人は90歳まで、4人に1人は95歳まで生きる時代。老後資金は100歳までを考える必要があります

 平均寿命が延び、長寿化が進んでいますが、残念なことに誰もが健康なまま年老いて生涯を終えるとは限りません。平均寿命と健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されずに生活できる期間)には差があります。

平均寿命と健康寿命にはこんなに差がある
平均寿命と健康寿命にはこんなに差がある
平均寿命と健康寿命の差は「健康ではない期間」を意味します。女性の場合約12年もその期間が生じることを考えなくてはなりません

 男性は約9年、女性であれば約12年、「健康ではない期間」が生じるため、医療や介護が必要になる可能性が高いということになります。

 一方で、お年寄りが増える分、国民の医療や介護を支える社会保障の力は、今後徐々に弱くなっていくのも事実です。社会保障だけを頼って生活する時代ではなくなってきているのです。老後のお金に関しても、公的年金のみを頼り過ぎることなく、自分で準備する発想が欠かせません。人生100年時代に備えるプランを考えていきましょう。

 次回は、必要な「稼ぎ力」とお金の知恵についてお届けします。

第1回・一生を4つの時期に分けてデザイン 困らない老後のお金 ←今回はここ
第2回・必要なマネースキルは何? 老後のお金に困らない3原則
第3回・20〜60代 世代ごとに変わるお金のToDoリスト

文/井戸美枝 イラスト/こつじゆい


井戸美枝
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士、経済エッセイスト
井戸美枝 社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。確定拠出年金の運用に関する専門委員会委員。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題について解説している。近著に『身近な人が元気なうちに話しておきたい お金のこと介護のこと』(東洋経済新報社)、『100歳までお金に苦労しない定年夫婦になる!』(集英社)、『定年男子 定年女子 45歳から始める「金持ち老後」入門!』(日本経済新聞出版社)など。井戸美枝オフィシャルサイト