毎月の給与明細の内容は理解していますか? 最低限の税金の知識を得て、どんなときにどうすれば節税になるのかも知っておきましょう。

税が戻る仕組みを知り「損しない人生」を

 「給与明細を見ずに捨てている人もいますが、ちょっと待って」とは税理士の望月茂さん。「働いていたことや年金加入の証明になるし、手当や控除をチェックできれば、手続きミスがあっても損を取り戻せます」

 明細を保存しておくだけでなく、税金の計算方法も覚えよう。「収入によって変わりますが、所得税と住民税を合わせた税率は15〜20%という人が多いはず。明細の支給額が、どういう計算で手取り額になるのか、税金をいくら納めているのか、大まかでいいので押さえておくこと。

 また、iDeCo(イデコ)の掛け金や生命保険料の支払いがあると、『所得控除』により、年末調整で税金が軽減されるといった仕組みも理解しましょう」

 確定申告は、会社員も知っておきたい税の手続きだ。どんなときに税金が戻るかを頭に入れ、必要なときは忘れずに申告を。

 国税庁のホームページ「タックスアンサー」なども参考に、ライフイベントごとの税の手続きを把握して、損をしない知識を身に付けよう。

給与明細の内容をきちんと理解する

 手当や控除など間違いがないか、給与明細をチェックできるようになろう。

給与明細と源泉徴収票との関係

毎月の給与明細には、総支給額から社会保険料や所得税、住民税が引かれて手取り収入となることが記載されている。毎月の所得税は概算で出した金額が引かれている。概算と確定した税額とを調整するのが「年末調整」
※2018年時点の制度を基にした例

 毎月の給与明細には、総支給額から社会保険料や所得税、住民税が引かれて手取り収入となることが記載されている。毎月の所得税は概算で出した金額が引かれている。概算と確定した税額とを調整するのが「年末調整」。

「収入」と「所得」と「控除」をまるっと理解

給与収入(年収)=「給与所得控除」+「給与所得」、「給与所得」=「所得控除」+「課税所得」、「課税所得」×「税率」=「所得税額」、「所得税額」=「税額控除」+「納税額」←最終的に納める額
給与所得のみの場合。復興特別所得税は考慮せず

 1年間の給与総額が「収入」。「収入」から経費にあたる「控除(所得控除)」を引いて「課税所得」を出す。所得税がかかるのは、この部分。「税額控除」がある場合は、「所得税額」から直接引くことができる。

課税所得の15%以上が給与から引かれている

所得税は所得の最低区分で5%。住民税は「所得割」が一律10%。これに「均等割」の5000円が一律加算される。つまり、課税所得の15%以上は税金として引かれる。
復興特別所得税は考慮せず。所得税と住民税の課税所得は人的控除の違いによって異なる

 所得税は所得の最低区分で5%。住民税は「所得割」が一律10%。これに「均等割」の5000円が一律加算される。つまり、課税所得の15%以上は税金として引かれる。