エリア・資産・時間を分散して投資する

 増やすこと以上に大切なのがお金を減らさないこと。「1つのカゴに卵を盛るな」という投資格言の通り、投資先を分散することで、一度に多くの資産を失うリスクを減らせる。

<リスクを抑えるコツ1>投資する地域と資産を分散する

 米国が好景気でも日本が好景気とは限らないように、地域や資産によって値動きは違う。また、日本より海外、先進国より新興国、債券より株式のほうが値動きが大きく、運用資産が増える可能性も減る可能性も大きい。

◆日本 ⇒自国の資産を持つことは投資の基本。為替リスクがないのもメリット。

◆先進国 ⇒米国、欧州など。先進国も分散先として必須。リターンを得る機会が広がる。

◆新興国 ⇒中国、インド、ブラジルなど。成長著しいがリスクも大きいので投資比率は少なめに。

◇株式 …企業が発行。配当金が得られるほか、業績が良ければ株価が上昇して値上がり益も。

◇債券 …国や企業が発行。定期的に利息が入り、満期に元本が戻る。株と逆の値動きをしやすい。

◇その他 …不動産に投資し、賃料収入などを得る「REIT」や金など。資産の分散のために加えてもいい。

値動きの違う投資対象に分散投資する

 値動きの違う投資対象に資金を分けて投資する(ポートフォリオを組む)ことで、リスクを抑えながら着実に資産を築ける。数字は公的年金の運用機関が想定する資産別利回り*1

*1 年金積立金管理運用独立行政法人が2014年10月に変更した基本ポートフォリオで設定する、市場基準ケースの期待リターン(実質的なリターン)

海外債券…期待収益率1.4% 日本債券…期待収益率−0.1% 日本株…期待収益率3.1% 海外株…期待収益率4.1%

投資対象によって値動きが違う

 資産の所在地域と種類のかけ算で値動きの激しさが変わる。日本債券はほとんど動かないが、新興国の株式は大きく動く。値動きが大きいと、儲(もう)けも損も大きくなる。

<リスクを抑えるコツ2>投資するタイミングを分散する(時間分散)

安いときはたくさん買え、高いときはあまり買えない。高値での大量買いを避けられる。

 値動きのある投信を毎月、一定額で買い続けると、高値のときは少量の、安値のときは大量の投信を買うことになり、平均購入単価が下がる。