Q. 病院は、何科に行くべき?
⇒メンタルクリニック(精神科)なら広く対応可。

うつ病を扱うのは心療内科とメンタルクリニック(精神科)。心療内科のほうが入りやすい印象もあるが、対応できるのは軽度ないし中度のうつ病まで。「統合失調症なども含めた『心の病全般』を診る精神科は、処方できる薬の種類も多いので、幅広く対応できます」。


Q. 治療ってどんなことをするの?
⇒一般的には薬物療法。最短でも3カ月はかかると心得て。

ドーパミンやセロトニン(心を安定させる神経伝達物質)を増やす抗うつ剤の服用が一般的。「2〜6週間で効果が出るが、途中で服用をやめると再発も。医師のOKが出るまで服用を続けて。治療期間の目安は最短3カ月」。


Q. うつ病ってそもそも治るの?
⇒基本的には治る病気です。早期治療が肝心。

うつ病は再発を繰り返す人もいるが、「ストレスが強くない環境の下で心の休養を取り、医師の指示通りにきちんと薬を飲みながら、食事・運動・睡眠などの生活習慣を見直せば、大半は治る。症状が軽いほど回復も早いため、早めに受診を」


Q. 仕事を休むことにどうしても罪悪感が…
⇒うつ病は病気。治療で休むのは当然のこと。

高熱が出たら仕事を休むのは当たり前。「具合の悪い場所が心か体かの違いだけで、うつ病も病気。病気を抱えて無理したり罪悪感を持ったりするとそれが新たなストレス源となり、回復が遅れる。医師の診断が下ったら気持ちを切り替え、しっかり療養しましょう」

うつ病危険度チェックリスト

 「心のつらさ、気力や集中力の低下、不眠、食欲不振などが2週間以上続く場合、うつ病の可能性大」。右の条件に当てはまれば「大うつ病(専門治療を受けたほうがいい典型的なうつ病)」と診断される。それ以下でも受診の検討を。以下の症状が2週間以上続いていないかチェック。

 Aのどちらか1つでも当てはまり、AとB合わせて5つ以上が2週間続いたら専門医の元へ。

A
□1日中、気分が沈んでいる
□好きだったことにも興味が湧かない、楽しめない

B
□食欲が出ない、おいしく感じない、逆に食べすぎる
□よく眠れない、逆に眠りすぎる
□動きや話し方が遅くなる、逆にソワソワ動き回る
□気力が湧かない、疲れやすい
□集中力が続かない、些細(ささい)な決断ができない
□自分には価値がない、周囲に申し訳ないと感じる
□この世から消えてしまいたい、死にたいと考える

功刀(くぬぎ) 浩
国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第三部部長 精神科医
功刀(くぬぎ)  浩 1986年、東京大学医学部卒業。精神科医として診察を行う一方、うつ病や統合失調症の新しい診断法や治療法の開発に取り組む。また栄養に着目した精神疾患の研究も精力的に行う。著書に『こころに効く精神栄養学』(女子栄養大学出版部)、『心の病を治す 食事・運動・睡眠の整え方』(翔泳社)など。

取材・文/籏智優子 写真/PIXTA