「心の弱い人がなる病気」と思ったら大間違い。うつ病は、ちょっとした出来事や変化をきっかけに、誰もがかかる可能性がある身近な病気。真面目な頑張り屋さんほど、実は注意が必要です。心がつらくなる原因や対処法を頭に入れておきましょう。

「うつ」は誰もがかかる可能性がある

 気力が湧かない、眠れない、何を食べてもおいしくない……。これはもしや、うつ病のサイン?

 「1つ1つは誰にでも起こる感情や現象。一時的なものなら心配ないですが、落ち込みの発生源であるストレスが続き、症状が2週間以上継続しているなら、うつ病の可能性も」と精神科医の功刀(くぬぎ)浩さん。

 うつ病は、脳の病気の一つ。「強いストレスや過労が引き金となり、やる気や喜びを生み出す脳の神経伝達物質の量が減ったり、働きが悪くなったりして感情のコントロールが効かなくなる」。発症のきっかけはさまざま。

 「異動、昇進、失恋、転居、結婚、出産、人間関係の行き詰まりなど、人生のあらゆる出来事が原因になり得ます」。性格も関係し、「几帳面(きちょうめん)で責任感が強い人はうつ病になりやすい」

 一度なると治りにくい印象もあるが、「うつ病は進行性や慢性の病ではなく、過度なストレスがない環境下で、薬を飲んで休養すれば完治できる病気。早めの受診が肝心です」

Q.「うつ病になりやすい人」っている?
⇒女性の患者数は男性の約2倍!心配性、完璧主義も危険。

女性のうつ病発症率は男性の約2倍。「女性は男性より、ドーパミンの働きを弱めるストレスホルモンが分泌されやすい上、妊娠・出産などホルモンバランスを乱すリスク要因が多いため」。心配性や完璧主義など、ストレスを受けやすい性格も発症リスクを高める。


Q. 心がつらくなるメカニズムは?
⇒脳内の快感物質が出にくくなるのが一因。

うつ病の発生メカニズムは未解明だが、「ドーパミンの減少が関与していると見られます」。ドーパミンの別名は「快楽ホルモン」。やる気や喜びの感情を司つかさどる脳内の神経伝達物質で、ストレス状態が続くと働きや分泌量がダウン。「その結果、心がつらくなると考えられます」


Q. 最近「うつ病」って周りでもよく聞くような…
⇒20人に1人がうつ病といわれています。

「うつ」とは、気分の落ち込みや物事への興味・関心の減退が長く続き、仕事や生活に支障を来した状態のこと。「現在専門的な治療を受けている国内のうつ病患者は約110万人。未受診の潜在患者も含めれば20人に1人の割合と推計される、誰もがなり得る病気です」