人間関係がつらい、仕事が多くて気が休まらない……。うつうつとした気持ちのまま頑張って、心身を壊してしまったという声も。会社が原因で起こる「うつ」に、どう対処したらいいかを産業医に聞きました。

人間関係がつらい、仕事が多くて気が休まらない……。うつうつとした気持ちのまま頑張っていませんか
人間関係がつらい、仕事が多くて気が休まらない……。うつうつとした気持ちのまま頑張っていませんか

今の苦しみは不可欠? 俯瞰して考える時間を持つ

 日経WOMANの読者アンケートには、毎月、仕事のストレスが原因で体調や気分が優れないという声が多く寄せられている。

 「仕事に起因する心身の不調の多くは『新型うつ』と呼ばれ、2010年頃から注目され始めました」と言うのは産業医の大室正志さん。「狭義の『うつ病』の基準を満たさなくても、なんらかのストレスが原因となった『うつ状態』で、適応障害と診断されることもあります。ただし、そのまま放置すれば、うつ病に進行するので、初期段階で改善する必要があるでしょう」。

 現代社会は、デジタル化により仕事のスピードも上がり、1人1人が抱える仕事量も飛躍的に増えている。一方で、トップ企業で正社員として働くことをよしとし、会社では上司に従うという、日本の伝統的な仕事観が変わるスピードは遅く、その狭間で心身を壊す人も増えている。電通の高橋まつりさんの過労自殺は記憶に新しい。

「会社うつ」にならないためにできること

 自分にとって、どんな生き方が幸せなのか、未来像をいま一度考えてほしいと強調する大室さん。次の3項目についてアクションを起こしてみよう。

 「その上で、もし今、苦しんでいるなら、その会社や人間関係は、理想の未来に不可欠なものなのかと検討を。常に別の選択肢を模索し準備していくことも、仕事で心身を損なわない助けになります」

【1】しっかりと貯蓄する

 退職をしても生活できる貯蓄があると、「辞める」決断をしやすい。「お金があることは、精神的余裕にも影響します」。

【2】常に転職できる可能性を持つ

 「実際に転職しなくても、選択肢があるだけでストレスは減少」。転職サイトで自分の価値を常に把握するのもオススメ。

【3】睡眠時間は1日最低6時間を確保

 睡眠不足は抑うつ状態を引き起こす。忙しい人ほど、1日6時間の睡眠を確保。「疲れているのに眠れない場合は受診を」。