出社したらすぐエンジンがかかり、集中して短時間でテキパキ仕事を片づける──。誰もが憧れるけれどなかなかなれない「デキる人」。でも、脳のクセと仕組みを知って活用すれば、あなたの仕事も見違えるようにはかどるかもしれません。脳の7つのクセを追いながら、仕事の効率化のワザを見ていきましょう。

「やらなくちゃ」がぐるぐる回るだけ

 「頭でやろうと思っても着手できないのは、脳がそういう仕組みだから。思ったときに脳の中で活動するのは、言語をつかさどるウェルニッケ野やブローカ野で、これは意欲や行動には直接つながらない。単に頭の中で『やらなきゃ』がぐるぐる回っている状態になります

 そう語るのは、脳科学者の篠原菊紀さんだ。「気になっているのに始められない」状態は、脳の特性によるものだった。

 では、実際に仕事にさっさと着手し、集中して一気に片づけるにはどうすれば?

脳のクセ1・脳は…「やろう」と思っても動かない

→でも「やっている自分」を想像するだけで動く

 「やりたくない仕事でも、一度取りかかりさえすれば、脳の『作業性興奮』という現象で勝手にやる気が出ます。じゃあ最初の着手をどうするかですが、『行動している自分をイメージする』のが有効です。イメージだけで、脳は行動時と同様に反応します」。

 頭で「やろう」「やらなきゃ」と考えても、体は動かない。それはいくら考えても、脳の中で言語をつかさどる部分(ウェルニッケ野やブローカ野)しか反応しないから。やる気を出すには、脳の「線条体」を活性化させる必要がある。

思うだけだと、脳の中で言語をつかさどる部分(ウェルニッケ野やブローカ野)しか反応しない。やる気を出すには、脳の「線条体」を活性化させる必要がある

 有効なのが「行動しているイメージ」を持つこと。「○○しよう、ではなく、自分は5分後には○○しているだろうと、なるべく鮮明なイメージを思い浮かべると、行動するときと同様に線条体が活動します」。オノマトペ付きのイメージだと効果が高いという実験結果も。