整理、早起き…「他の人は当たり前のようにできることが、なぜ私にはできないの?」。そう悩んでいる人、多いのではないでしょうか。実はそこには「発達障害」の傾向が隠れているかもしれません。発達障害の当事者である借金玉さんに、編み出した生活術を聞きました。
大切なのは「レベルの低い」生活術
世の中には、社会生活を送る上で不利な特性を持つ「厄介な脳」を抱えて悩む人がいる。いわゆる「発達障害者」だ。
例えば「ADHD」というタイプの発達障害は、一般的にじっと待ったり行列に並んだりするのが苦手(多動性)だとか、注意力の欠如などが特徴。「ASD」は、人との関わりが困難だとか、特定のルールに強くこだわってしまうなどといった特徴があるとされる。症状はひとりひとり異なるが、社会で生きる中で困難にぶつかりやすく、しかもそれを努力では改善しにくい点で共通する。
自らもADHDの診断を受けた借金玉さんも、職を失うなどの苦労を経てきたひとり。その経験や、他の発達障害者たちとの交流のなかで、「自分たちが少しでも楽に生きるためのワザ」を体系化した。
「例えば、私はすぐモノをなくすので、ハンコが使いたいときにはいつもない。なので、同じハンコをたくさん買ってあちこちに置くことで対応した。こういう『レベルの低い解決法』が重要なんです」
発達障害に気づかないまま大人になった人や、診断を受けるほどではなくても発達障害的な傾向を持つ人は少なくない。借金玉さんの生活術、意外とあなたにも役立つかも?
借金玉さんが発見した「厄介な脳」の4つのトリセツ
1. 「集約化」して「一覧性」を持たせる
複数の場所に分散したモノを管理するのは困難なので、1カ所に集める。しかも「見えないモノは認識できない」ので、見やすい形で収納する。
2. 「クリーンスペース」をつくる
周囲のノイズに非常に弱くて集中できなくなる傾向があるため、集中するための作業スペースだけは完全にクリーンに保つ。
3. 行動のハードルを極限まで下げる
仕事でも日常の用事でも、意志が弱くなかなか着手できない特性があるため、行動の「最初の一歩」だけは非常に低いハードルにする。
4. 死なないことが最優先
ただでさえストレスを感じやすいのが発達障害者。「高い成果を上げる」より、「心の健康を害さない」を最優先にしないと破綻する。