「3つのステップで日常を書き留めることで毎日が変わる」と話題の本『メモの魔力』。今回は、著者の前田裕二さんに、具体的なメモ術を教わりました。

前田裕二が実践・自分が愛おしくなる「メモの魔力」
・「メモの魔力」実践編 3ステップで書く&99の質問 ←今回はココ

前田さんのメモ術を公開!

 日常で見聞きしたことをひたすら記録することで、思考が深まり人生が豊かになる─。そんな「メモ」の効用と実践法を記した、SHOWROOM社長の前田裕二さんによる『メモの魔力』(幻冬舎)。今回は、前田さんのメモ術を見せてもらいました。

 

【使っているもの】
モレスキンの方眼タイプのノートと、「ジェットストリーム」の4色ボールペン
モレスキンのハードカバーノートを10年以上愛用。「メモを取りたくなる、気持ちが上がる文具を選ぶことも重要」

【色分けの法則】
…普段使い。実際に目にしたこと、話し合われたことなど、「事実」を書く
…主観的な自分の意見や思い、感情を書く
…最も重要なこと
…赤で書いたことほど重要ではないが、やや重要なこと。引用や参照

【最初に書く項目】
□日付
□タイトル
□サマリー(全体の要点を1文にまとめて記入。会議などが終わったらすぐに「まとめ」として書き込もう)

ステップ1・ファクトを書く

 自分が見聞きした「客観的事実」を書く。「『上司に褒められた』『書類がうまく書けた』などの体験を具体的にメモ。街なかで印象に残った広告のフレーズや、引っかかりを感じた情報など、気になることはなんでも書きます」

 各ファクトは一言で言うと何なのかを示す「標語」を付ける。「キャッチフレーズ」のようなものだ。

ステップ2・抽象化する

 「抽象化」とは、左に書いた「ファクト」から重要なエッセンスを抜き出したもの。「『なぜうまくいったのか』『なぜ自分はそう感じたのか』など、ファクトが起きた背景を深掘りして理由を分析し、書いてみましょう」

ステップ3・転用する

 「抽象化」で分かったことを元に、「次も成功させるため/失敗しないためにはどうすればいいか」など、「ファクト」からの気づきを生かす方法を考えて書く。「応用する方法まで考えることで、未来の有意義な行動につながります」

前田式3ステップメモ術・実例

 前田さんの3つのステップに沿って、メモを書いてみよう。例えば、「慌てて書いた報告書についての振り返り」という内容で書いてみると、以下のようになる。慌てて書いた報告書だったにもかかわらずなぜ褒められたのか、理由を見つけることができるだろうか。

【例1】
(ファクトを書く)
標語・報告書
詳細・15分で慌てて書いた報告書を、上司に絶賛された。
 ↓
(抽象化する)
・1時間かけたときよりも、報告書内の1文が短い。
・時間がないからと「必要最小限」を箇条書きしてから書いた。
・「ですます」調でなく、「である」調で書いた。
 ↓
(転用する)
・報告書は、要点を絞ったほうが伝わりやすい。
・上司への提出物は「である調」のほうが読みやすい。

 次は、「Aちゃんの仕事の悩みを聞いたときの出来事の振り返り」という内容で書いてみると、以下のようになった。

【例2】
(ファクトを書く)
標語・Aちゃんの悩み
詳細・Aちゃんの仕事の悩みを聞きながら、泣いてしまった。
 ↓
(抽象化する)
・Aちゃんの上司の心ない言葉に、私も傷ついた
・クラスで一番優等生だったAちゃんが、仕事で追い詰められているのがショック
・自分のことで泣くことはないのに、人の話で涙が出ると気づいた
 ↓
(転用する)
・仕事で力を発揮するには、個人の力だけでなく、周りの環境も重要
・自分はクールな人間と思っていたけれど、実は人情派かもしれない

3つのステップが難しい…という人は

 3つのステップが難しい…という人は、見開きを左右で分けるだけでも、この前田式メモ術を実践できる。「左ページには心に留まったことを書き、それに対する自分の考えを右ページに。それだけで物事を深掘りする習慣がつき、仕事の効率化や人生を充実させることにつながります」