人生100年時代を幸せに生き抜くためには、長く働けるスキルが必須! けれど、どんなスキルを身に付ければいい? 今、私たちに必要な学びを、注目のキャリア論研究者・田中研之輔さんが教えます。

法政大学キャリアデザイン学部教授・田中研之輔さん
法政大学キャリアデザイン学部教授・田中研之輔さん
一橋大学大学院博士課程修了後、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員などを務める。大学と企業とをつなぐ連携プロジェクトを数多く手がける。著書に『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』(日経BP)など
プロティアン・キャリアとは?
ギリシャ神話の、思いのままに姿を変える神プロテウスのように、変化に応じて柔軟に変われるキャリア像を表す言葉。米ボストン大学のダグラス・ホール教授が1976年に提唱。

会社では学べない、好きなことを勉強し続けよう

 「これからどんどん『プロティアン格差』が起こってきます」。そう断言するのは、法政大学教授の田中研之輔さん。「プロティアンとは、変化に合わせて柔軟にキャリアを変化させられる能力のこと。それができる人とそうでない人とでは、人生の幸福度が大きく変わります」。

 終身雇用が崩壊し、企業に所属していれば老後まで安心という時代は終わろうとしている。そんな時代でも長く仕事を続けるためには、どこに行っても通用する人材になることが大切だ。そのために有効なのが、「大人の学び」だと言う。

 「今までは、実務のなかで実践的なスキルを学ぶことが推奨されてきました。けれど、日本の企業は独自文化が濃く、社内で通用するスキルが、必ずしも社外で通用するとは限らない。積極的に、会社以外の場所で学ぶ機会を持つべきです

 学ぶのは、ズバリ、なんでもOK! 「10年前に登場したスマホは、世の中の常識や景色をガラリと変えてしまいました。そうした技術革新が起こると、少し前まで役立ったスキルが全く使いモノにならなくなる。だから、『これから必要になりそうなスキル』を予想するのは、外れたときのリスクが高すぎます」。

 学ぶべきは、「会社の中で学べないこと」で「好きなこと」。何を学ぶのかよりも、常に何かに興味を持ち、学び続けることが重要だ。「今すぐ、1日10分でも時間をつくり、本を読んだり、気になることを学んだりしましょう」。