時間がない。集中できない。せっかく読んだ本の内容が思い出せない…。「読書をしたほうがいい」とは思っているのに、自分に合う方法が見つからなくて悩んでいるビジネスパーソンは多いはず。この連載では国語講師の吉田裕子さんが、誰でも実践できる「頑張らない読書術」を伝授! 読書は自分を成長させるための「投資」でもあります。第4回は、その効果を高める2つのワザを解説します。

「読みたいものを読む」が基本

 「どんな本を読むべき?」という質問に、私は基本的に「読みたいものを」と返しています。少々無責任な回答に聞こえるかもしれませんが、「そのとき読みたいものを読む」のが一番だと考えているからです。

 心身を消耗すると、甘い物を食べたくなりませんか? 体は正直で、そのときに必要な栄養素を求めるものです。本選びもそれと同じ。そのときに自分が求めている本を読むのがいいのです。

 話題の本でも、ピンと来なければ、無理に読む必要はありません。自分が必要としていない本は、いまいち吸収できません。

 自分が何を欲しているかが分からない人は、ぜひ書店へ。表紙や書名を見ながら、自身のニーズを探ります。例えば、仕事が何となく行き詰まっているときには、書店のビジネス書のコーナーを眺めてみましょう。「これは関心に近い」「これは関係ない」と判断しているうちに、漠然としていた悩みが具体化・言語化されてきます。ずばり刺さる1冊とも巡り合えるかもしれません。

 刺さるのは悩みに応える本だけではありません。現実を忘れられる本が救いになることもありますよね。私のKindleアプリにも、疲れ切った日の帰り道で読む用の絵本が数冊入っています。

 「そのとき読みたいものを読む」が本選びの基本。ただし、自分の本選びの傾向を離れ、新たな発見、視野の拡大といった成長につなげたい場合には、次の2つのやり方を推奨します。