会社の中の肩書でも、性別でもなくて、「自分の名前」で認められる仕事がしたい――そんなdoors世代の思いをかなえる働き方のヒントを伝授してもらいたいと考え、日経doorsでは、尾原和啓さんの連載を展開していきます。

「守り」ばかり気にしないとダメ?

 「20代での転職は“逃げ”だ」「女性なのだから、そんなに頑張らなくてもいいんじゃないの」――。

 人生や働き方に迷ったとき、親や先輩社会人にアドバイスを求めたらますますモヤモヤしてしまった経験、ありませんか? 20~30代の皆さんが生きている社会は、先輩たちが乗り越えてきたそれとは異なります。「ロールモデルはいる?」と聞かれると言葉に詰まってしまうのは、もしかしたら当然なのかもしれません。

 出産や育児などさまざまな節目で、仕事にかけられる「時間」が限られる局面もあるのは事実です。でも、だからといって私たちは「守り」ばかりに目配りして生きていかないといけないのでしょうか。

 会社の中の肩書でも、性別でもなくて、「自分の名前」で認められる仕事がしたい。そんなdoors世代の思いをかなえる働き方のヒントを伝授してもらいたいと考え、尾原和啓さんにこの連載の執筆をお願いしました。

尾原和啓(おばら・かずひろ)
IT批評家
尾原和啓 京都大学大学院で人工知能を研究。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、NTTドコモのiモード事業立ち上げを支援。その後、リクルート、Google、楽天(執行役員)などで新規事業や投資に従事。経産省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。シンガポール・バリ島を拠点に人・事業を紡いでいる。ボランティアでTED日本オーディションに従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。

 尾原さんは、マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモ、リクルート、Googleなど12回の転職を経験して現在に至るITのスペシャリストです。しかも、シンガポールとバリ島を拠点に世界を飛び回って働いています。まさに自分自身を武器にしながら、カイシャにも、国境にも「縛られない」スタイルを選び取ってきました。

 尾原さんは「エフェクチュエーション」という経営学の用語を引き合いに、変化の波にうまく乗りながら自分の市場価値を高めていくことが大切だと強調します。

 「正解がなく、予測も難しい世の中でどのように企業経営をしていくか。それを考える際、綿密な調査や予測分析を基にするのではなく、小さなチャレンジ、時には失敗を繰り返しながら徐々に市場に適合していく意思決定の仕方がエフェクチュエーションです。女性はとかくプランを立てることばかり強いられがちですが、あえてその発想から自由になることを提案したいと思います」(尾原さん)

 第1回のテーマは、「PDCAからDCPAへ」。早速「Do(行動)」することにポジティブになれるような尾原さんの言葉が詰まっています。読み進めるにつれて、心も体も軽くなる連載になること間違いなし! 毎月1回、第2週の更新です。ぜひ、読んでみてください。

文/加藤藍子(日経doors編集部)