IT批評家の尾原和啓さんが、自分らしく働くための秘訣を伝授してくれる本連載。最終回では、アイデアを生み出せる創造性豊かな人材になるために、尾原さんが実践していることを教えてもらいました。鍵になるのは「恋脳」。それは、相手にギブし続けること=与え続けることを通して鍛えられるのだといいます。

「恋する視点」とは、相手の立場で考えること

 かなり前のことになりますが、ルミネの広告で「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」というキャッチコピーがありました。これはつまり、新しいファッションに身を包んだ自分を見て、「今の自分を彼に見てほしい」と発想する人の恋心を表していると思います。同時に、鏡に写った自分の姿を、「好きな人」の目線で見てもいます。「あの人はこのワンピースを着た自分を、どう見るのか?」と。

 実は、こういった恋する視点=「恋脳」こそ、混乱の時代を生き抜くのに必要な武器になり得るのです。

 例えばあなたが好きな人に、何か贈り物をするとしましょう。次のデートのとき、気の利いた小物をあげるとしたら、まず何を考えますか? PC作業の多い相手ならアイピローがいいかもしれないし、徹夜の多い相手なら栄養剤をあげたら喜ぶかもしれない。

 このように、人は相手を喜ばせようと考えるとき、まず相手の置かれている環境やシチュエーションに思いをはせ、相手の立場になってプレゼントを選ぶものです。つまり「恋脳」とは、相手の視点で考え、相手が知らないこと、持っていないものをギブする力でもあるのです。