誰でも、同じ商品を買うなら少しでも「お得」なほうを買いたいもの。でもちょっと待って。その商品は本当に欲しいものですか? 安くなっていたからと、安易に買い物かごに入れていませんか?

 人間は、どんな場面でも合理的に行動できる生き物ではありません。「行動経済学」とは、今までの経済学では説明がつかなかった社会現象や経済行動を、人間の行動を観察することで読み解く新たな経済学。

 本連載では、あなたの身の回りにある「つい、取ってしまいがち」な行動を分かりやすくご紹介。「私だけは絶対、損しない」人になるお手伝いをしていきます。

バーゲンセールに潜む心理的なわなって?

 バーゲンセールに行くのは楽しいものです。特に多くの女性にとってはバーゲンでの買い物はある種のストレス解消といっていいでしょう。でも楽しい、そして一見お得に見えるこのバーゲンセールに実は大きな心理的なわなが仕掛けられているのをご存じですか?

イラスト/ちーぱか

 多くの人は「バーゲンセールは、店が損をしてもいいから安売りをすることで顧客の日ごろのご愛顧に対して感謝する催し」と勘違いをしています。もちろん多少そういう意図はあるかもしれませんが、実はバーゲンセールをすることでお店は結構もうかっているのです。

 その証拠に、プロ野球の球団が優勝すると、関係するデパート等は「優勝記念セール」を行います。ところが、日本シリーズで負けても「残念セール」「ご声援感謝セール」を開催する。要は、何でもいいからセールをやりたいのです。なぜならセールはもうかるからです。

 もちろん一番いいのは通常の価格で全部売れることですが、そんなことはまずありません。現実には売れ残るからセールをする。売れ残るぐらいなら、安くしてもキャッシュが入ってくるほうがずっとましです。アパレルの流通や価格の仕組みは非常に複雑なようですから一概には言えないと思いますが、ごく単純化して考えてみましょう。

セールにはたくさんの仕掛けが

 もし原価率(売値に対する仕入れ値の比率)が5割だとすれば、仕入れた分の半分売れれば赤字にはならないということ。もちろん人件費や家賃がありますから、実際はもう少し売れないといけませんが、少なくとも全部を定価で売り切らないともうからないというわけではありません。

 従って原価率をカバーできるところまで販売できていれば、あとはいくらで売っても売れた分だけが余分にもうかることになります。そこでいろんな名目のセールや、セールをすればたくさん買ってもらえるような仕掛けを考えます。セールをするに当たっては、チラシや広告で大々的に告知したり、あるいはセール期間はポイントを倍増したりするといった具合に。

「セール対象外」はなぜ置いてあるの?

 そんなセールの真っただ中、店のそれも割と目立つところに「セール対象外商品」の一団が置いてあることがよくあります。セールというのは価格を下げて売るわけですから、とにかく量を販売しなければいけないはずです。であるとすればそんな貴重な店のスペースに、なぜ「セール対象外商品」を置いておくのでしょうか?