損な思考をしないためにできること

 では、どうすれば後知恵バイアスによるいわれのない非難を防ぐことができるのでしょうか。

・自分が部下の場合
 できる限り上司に報告しながらプロセスを共有する。要は、上司を巻き込んで言い逃れできないようにすること。

・自分がリーダーの場合
 部下に対し、後知恵バイアスによるセリフを吐かないよう気をつけましょう。そのためには、できる限り結果と原因を直線で結びつけないようにすること。

 どうしても我々は「○○だからこうなった」という具合に因果関係を単純化したがります。しかし、その思考は「損」。原因は単純なものではなく、さまざまな要素が複雑に絡む場合も多いからです。

 損な思考をしないためには、いい結果も悪い結果も、すべて想定内であることをメンバー全員であらかじめ共有すること。そして、そうなった場合の対応策を同時に考えておくことが大切なのです。

文/大江英樹 イラスト/ちーぱか