世界を知り、自分を見つける「旅」をしよう

 日本では、大勢の学生が在学中に就職活動を行い、短期間で一斉に内定を得ています。その結果、本当にやりたい仕事とは別の職業に就いてしまうこともしばしば。このような状況に陥らないためにも、グラットン氏は「旅」が必要だと話します。実際にグラットン氏は、学生時代にロンドンからヨルダンへ渡り、シリア、イスラエル、インドを回ったそうです。

 「旅をすれば、自分がどのような人間なのか、世界がどのような仕組みで動いているのか、人生がどのように展開するのかを自分の目で見て、理解することができます。またAIなどテクノロジーの進歩によって、世界中で新しい仕事が生まれているのを目の当たりにすることもあるでしょう。世界にどのような仕事があるのかを知れば、選択肢も広がります」

「旅をすれば視野が広がり、選択肢が広がります」
「旅をすれば視野が広がり、選択肢が広がります」

 また、旅先では他国のマーケットを見ることも可能です。日本人は健康的な生活習慣やテクノロジーの開発に優れている一方、その知識や技術を国内のマーケットにとどめがち。起業して海外へ広めようとする人も少ないため、グラットン氏は「有益な情報が国内に埋もれている」と感じることも多々あるそうです。

 「海外の有名大学には、大企業への就職を目指すのではなく在学中に起業する学生が大勢います。欧米諸国に比べるとまだまだ移民が少なく、出生率の低い日本では、『旅行や起業をしていたら就職先がなくなってしまう』という心配もほとんど必要ないでしょう。旅をして世界の動向を知り、他国のマーケットを視野に入れてビジネスを立ち上げてみましょう。その経験は、人生100年時代を生き抜く糧になると思います」