インターンシップ参加は戦略的に

 次に、近年開催が増えているインターンシップです。企業のリアルな姿を探るにはポイントがあります。

 インターンシップには、大きく分けて「1day型」と「中・長期型」のものがありますが、企業を知りたいと思うなら、少なくとも1~2週間かけて行うインターンシップに参加する必要があります。

 1day型は、あくまでも就活の入り口。ショーウインドーを見て回るように、興味のある企業の1dayに何社か参加して、その中で興味を持った企業の中・長期型インターンシップに参加するといいでしょう。

 ただし、インターンシップの中身は実務要素が少なく、より多くの応募者を集めるために、学生が喜びそうな新商品の企画や広報案を考えるといったものが多いのも事実です。

 それらは、少数の人たちが担う仕事の一部ではありますが、実務とはかけ離れた華やかな仕事であるともいえます。そのため、せっかく1~2週間のインターンシップに行くのであれば、地道な実務に参加させてくれたり、営業同行をさせてくれたりする企業を選ぶと、仕事の現実がよく見えます。

 また、既に入社を希望している企業があるのであれば、その「取引先」のインターンシップに参加するのも手です。

 例えば、自動車メーカーに入りたいと思っているなら、そのメーカーと取引をしている部品メーカーなどのインターンシップに参加してみるといいでしょう。取引先は、その企業のリアルな姿をよく知っています。しかも、たいてい競合他社とも取引をしているので、業界についての研究もより深められるのです。

今の学生は文章もプレゼンも写真もうまい!

 最後に。多くの大人は、自分のことは棚に上げて、「最近の若者は……」ということをよく言います。しかし、私は20年以上新卒採用に関わり、学生たちの応募書類などを読んでいますが、昔よりも今の学生のほうが、文章は格段にうまい。SNSやブログ、メールなどで、文章を書くことに慣れているからでしょう。自分の体験を物語として語るストーリーテリングの技術も持っているし、写真を撮るのも上手です。

 だから、学生の足りない部分だけをあげつらうような大人の言うことは、気にしなくていい。就職は、今の皆さんにとって今後の人生を左右する一大イベントだと思いますが、だからといって、いや、だからこそ、着飾る必要も自分を大きく見せる必要もないのです。

取材・文/青野梢 写真/PIXTA

海老原嗣生
雇用ジャーナリスト
海老原嗣生 大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートキャリア)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計等に携わる。その後、リクルートワークス研究所にて雑誌Works編集長。2008年にHRコンサルティング会社ニッチモを立ち上げる。雇用・キャリア・人事関連の著書多数。近著は「『AIで仕事がなくなる論』のウソ」(イースト・プレス)。