学歴は採否に影響するのか

――お話があったようなミスマッチをなるべく起こさないために「就活」というプロセスがあります。ただ学生の間では、そもそもマッチング前に企業が学歴で足切りをする「学歴フィルター」があるのではないかと、不信感もあるようですが。その点、ずばりいかがですか。

PR 正直、大手企業で大量のエントリーがあるところでは、学歴である程度、絞らざるを得ないという話は聞きますね。理系だったら「ここの研究室がいい」とか「悪い」とか、ある程度蓄積されたデータを参考にしてしまうというか……。

 当社は全く規模や気風が違うので、仮に大学を卒業していなかったとしても、それなりの理由があれば余裕でOK、みたいな感じです。

人材 当社もないですね。「どこに属していたか」より「そこで何をやってきたか」を重視しないと、結果的にミスマッチが起こってしまうと思うので。ただ、採用過程で「思考することに対するストレス耐性」という点を重視する中で、結果的にその能力の高さが、学歴に比例しているというケースはありますけど。学歴をフィルターにすることはないですね。

製造 当社も同じです。募集時に初めから職種を分けているので、学部や専攻は、専門スキルを見極めるための参考として確認はします。

人材 「企業規模による」ということではないでしょうか。業界によっては、組織の中に「学閥」があって、学歴の有無が入社後にも持ち越されて出世に影響するようなところもあると聞きますしね。

PR 学歴フィルター、就活をする学生側としては、あまり気にしないほうがいいんじゃないかな。学歴コンプレックスを持ち過ぎてしまうと、ゆがんでしまう。例えば以前、高卒で応募してきた人が、こちらが質問してもいないのに、大学に行かなかった理由を延々と語り始めてしまったことがあったんです。ライトに「こういうふうに自分なりに頑張ってきました」とアピールしてもらえたら全然よかったんですが、逆に「そんなに引け目に感じていて、入社後に大丈夫かな……」と感じてしまって。

学歴フィルターの有無は企業にもよるけれど、敏感になり過ぎないで
学歴フィルターの有無は企業にもよるけれど、敏感になり過ぎないで

 20代の価値観の変化に対応しようと懸命な企業の様子もうかがえた座談会。定期的に話題に上る「学歴フィルター」もすべての企業に存在するわけではないので、過度に敏感にならないようにしましょう。過去の自分を変えられない以上、今の自分を信じてぶつかっていきたいですね。次回は引き続き座談会の様子をレポート。採用担当者はエントリーシートや面接で何を見ているのか? さく裂する本音をお楽しみに!

取材・文/加藤藍子(日経doors編集部) イラスト/PIXTA