どん底からのはい上がり作戦は「仲間を増やすこと」

 プライドが打ち砕かれたこの出来事で、「共感されなければ、応援される人になれない」と気付いたゆうこすさんは、「まず、自分のコアなファン、フォロワーを100人つくろう」と思い立ちます。「共感ポイントを高めるにはどうしたらいいか」を考え抜き、まず「自分自身を深く知る」ことを最初の課題に掲げました。

 そこで始めたのが、その日に経験し、感じたことを細かくノートに書き出すこと。例えば食事に出掛けたら、料理を見て、実際に食べてどう感じたか。なぜそう思ったのかを一つひとつ振り返って言葉にしていきました。Twitterでは、一つの出来事で感じたことを簡潔に伝えないといけないので、その出来事の「キャッチコピーを最後に必ずつける!」というクセをつけていたそうです。

 「ある時から、コピーに『モテ』が入りだしたんです(笑)。なぜだろう、と思って考えたら、私がもともとアイドルやっていたのも、ニート中に料理の道を志してみたのも、全部一言でまとめるとモテたかったんだな、って。そこで、 モテに関することだったら、無理せず、自然に発信できるし、自分のストーリーも語れるし、新しい何かを創造できる。共感しない人もいるだろうけど、例えばクラスの一人くらいはファンになってくれるかもしれない。そう思って、あえて『モテクリエイター』を名乗り、発信することにしたんです」

 この時に、ゆうこすさんが意識していたのは、自分を「マンガの主人公」に見立てること。自分自身を、一度物語の主役に置き換えて見渡し、主人公として感情移入してもらえるようなストーリーが描けるかを考えてみたそうです。そして、起承転結を構成するように、「○月からインスタを始めて、フォロワー数が△△人になったらイベントを開催して、スタイルブックを出して……」とストーリーを描き出し、行動に移していきました。

 そして、完全にモテキャラに振り切ったところ、フォロワーが少しずつ増え、半年後に開催したイベントでは170枚のチケットが即完売。中でもインスタグラムを通じてファンになった女性が4割を占めていました。

 「やっと『どん底からはい上がった』感がありましたね。SNSの炎上も経験したけど、やっぱり自分が熱意を持って、好きなことを発信していたから、たくさんの仲間に会えたんだと思います。SNSって自分が見る側だったら、好きな物やこと、つまり、自分が共感している人にしかたどり着かないんです。たとえ、SNS上でたたかれていたとしても、味方になってくれる人とも出会える。それがSNSの魅力だし、使い方なんだと思います」

「熱意を持って好きなことを発信していたから、たくさんの仲間に出会えました」
「熱意を持って好きなことを発信していたから、たくさんの仲間に出会えました」