お嬢様芸人として知られるお笑い芸人のたかまつななさん。「お笑いで社会を変えていきたい」と、2016年に「笑下村塾」を設立後、昨年8月に大学時代からの親友である相川美菜子さんへ代表を交代。現在、「複業」という働き方をするお二人に、話を聞きました。

笑いで世の中を良くしたい

 現在、お笑い芸人として活躍しながら「笑下村塾」の取締役も務めるたかまつななさん。彼女の作るネタは、ユーモアの中に本物のお嬢様ならではの品の良さと知性がうかがえる、見ていて気持ちの良いもの。そんなたかまつさんがお笑い芸人を目指し、笑下村塾を立ち上げたきっかけは何だったんでしょうか?

 「きっかけは『笑いを通して社会問題を伝えたい』と思ったことですね。お笑いって、たとえその芸人さんに興味がなくても笑えるネタがある。芸術の一つとして、笑いは人を引きつけやすい手段であると思っていたんです」(たかまつさん)

 その後、2016年に18歳選挙権制度が導入されたことを機に政治をもっと身近に感じてほしいとの思いから笑下村塾を設立。

 「18歳選挙権制度は私が生まれて初めて体験する『若者が政治の場で主役になる』瞬間でした。これから、政治にまつわる面白い教材やテレビ番組がたくさん出てくるだろうと期待していたのに、蓋を開けてみたらつまらないものばかりで。だったらお笑い芸人の私が作ろうと決意しました。『私の使命は、社会問題をお笑いで学んでもらうことだ』と」(たかまつさん)

特に感銘を受けたのは、中学校2年生のときに読んだ爆笑問題・太田さんの書いた本。「社会問題を、こんなにも面白く分かりやすく伝えられる人がいるんだと知り、お笑い芸人になろうと決意しました」(たかまつさん)
特に感銘を受けたのは、中学校2年生のときに読んだ爆笑問題・太田さんの書いた本。「社会問題を、こんなにも面白く分かりやすく伝えられる人がいるんだと知り、お笑い芸人になろうと決意しました」(たかまつさん)

 笑下村塾で行っている「笑える! 政治教育ショー」では、ロールプレイングゲームやカードゲームなどアクティブラーニングを取り入れた教材を作り、全国の学校へ出張授業を実施。そのほかにも、世界の課題を知る「笑って学ぶ SDGs」、大学や企業研修からの要望が多い「人を惹き付けるプレゼンテーションの作り方」など、幅広く活動しています。

 「会社を作ったのはお金もうけのためではなく、一人でも多くの人に私たちが作った授業や教材を届けたいから」と語るたかまつさん。「ただ、私一人では限界があるので、現在は出張授業を仕組み化して、芸人さん100人が授業をできることを目指しています」(たかまつさん)