新鋭の映画監督である山戸結希さん。最近は、自身が企画・プロデュースを務めた、オムニバス映画『21世紀の女の子』が話題だ。「世界中のスクリーンで上映される映画のうち、どうか半分が、女の子たちの手によって紡ぎ出されたシーン/光景になってほしい」「男性中心の映画界で女性監督が仕事しやすくなるように」――本作を企画するに当たって、山戸さんはその誓いを立てました。
※「『ザ・男社会』の映画界では女性の感性が評価されにくい」で続編をお読みいただけます。
元の夢は哲学者。巻き込まれるように映画の世界へ
上智大学在学中に独学で撮影した『あの娘が海辺で踊ってる』が評価された山戸さん。最初から映画監督志望だったのだろうというインタビュー前の推測は覆された。
元は哲学研究者になるのが夢で哲学の研究に没頭していた。にもかかわらず、巻き込まれるように、映画の世界に転じていったという。
「英語の授業でたまたま隣に座っていた女の子に誘われて映画研究会に入部しました。けれど、その子が法学部だったため忙しく、代わりに哲学科の私が部長に就任することに。そして、その年、新入部員が大勢、目をキラキラさせて入部してくれたんです。この子たちのために何かを撮らないとこの子たちをガッカリさせてしまう! と、みんなで1作目を撮りました」
「それは圧倒的に楽しくて、あっという間に、映画そのものに魅了された自分がいました」と山戸さん。
その時、キーパーソンとの出会いもあった。
「映画を夢中で撮る過程で、その都度、『あなたみたいな若い女性が切り開いていける道があるんだよ』と応援してくださる方に出会いました。私は未熟でしたが、若い人間の可能性を信じ、手を伸ばしてくださる方が確かにいたおかげで、仕事として続けることができたんです。ですから、自分もそうしたキャリアの入り口に立っている人を、応援できる立場に回りたいと思うようになりました」