星真梨子さんは、大学院生時代に弟の星賢人社長とともに、LGBTのための就職情報サイトを運営する「JobRainbow(ジョブレインボー)」を設立。LGBTや性的マイノリティーをはじめ、「さまざまな個性を受容して、誰もが生きやすい社会」を目指しています。LGBT当事者だけではなく、すべての人が自分らしく生きられる社会を実現するために必要なことを聞きました。

星真梨子

ほし・まりこ

JobRainbow 取締役COO

取締役COO

1989年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、日本のマイノリティーの生きづらさへの関心から、法律家としてアプローチするため、東京大学法科大学院へ進学。在学中に弟や友人からカミングアウトを受けたことをきっかけに、性や偏見のしがらみなく生きられる社会の実現をめざし、2016年、弟の賢人さんとともに株式会社JobRainbowを設立。LGBTに理解のある企業の情報を紹介し、求人に応募できるWebメディアの運営や企業がLGBTの人を受け入れるための研修コンサルティング、イベント事業などを行う。

カミングアウトは信頼の証

「私には、高校生の頃に決めた人生の課題があるんです。それは『マイノリティーが受容される社会にして、日本をもっと良くしたい』ということ。父が弁護士なので、子供の頃から社会問題に関心が高く、差別の問題に敏感だったことも影響しているかもしれません。」

 「社会的弱者をサポートしたい」。そう考えていた星さんは、大学卒業後、法科大学院へ進みました。そのとき、仲の良かった弟(現・JobRainbow代表取締役/星賢人さん)から、ゲイであることをカミングアウトされます。そして、身近な知人からもトランスジェンダーであることを告白されました。

「弟や知人からカミングアウトされたとき、驚きよりも自分に打ち明けてくれたことが純粋にうれしかった。1人で悩み、抱えていたことを話してくれたのは『信頼の証』と思ったんです。『話してくれてありがとう』って、感謝の気持ちでいっぱいになりました

 周囲の大切な人からのカミングアウトをきっかけに、星さんはLGBT当事者が抱える大きな悩みを知ることに。あるトランスジェンダーの知人が就職活動で壁にぶつかったことを知ると、LGBTやマイノリティーの就職には、大きな課題があることに気付きました。

マイノリティーの人に対し、社会にはまだまだ根強い『偏見』『差別』があると実感しました。トランスジェンダーの友人は、面接で『トランスジェンダーです』とカミングアウトすると、『うちの会社ではあなたみたいな人は受け入れられません』と言われたそうです。それが大きなトラウマとなり、結局、就職を諦めてしまいました。高校までは男性、大学からは女性として過ごしていた友人は、男女どちらのスーツを着たらいいのかが分からず、説明会は女性用のスーツ、面接では男性用のスーツと使い分けるなど悩んでいたそうです」

 実際に、「就職活動で困った経験がある」という当事者はとても多く、非当事者が6%なのに対し、LGBT全体で40%、トランスジェンダーの方に限れば70%に上るそうです。

 そんなとき、こうした社会の現状を変えたいと考えていた弟から「LGBTの就職を支援する企業を立ち上げたい」と相談を受けました。昔からすごく仲が良く、お互いを理解してきた星さんは、「彼ならこのビジネスを実現できる」と確信。星さん自身はLGBT当事者ではありませんが、非当事者の視点があるからこそ会社を牽引し、やがて世界のステージに乗せることができるかもしれないと考え、JobRainbowを共同創業しました。

「カミングアウトされたとき『信頼されている』と感じ、うれしかった」