目の前の人を大切にする生き方をしたい

 最近では、TVドラマにゲイの登場人物が出てきたり、一部の自治体が同性婚を認めたりするなど、多くの人が身近にLGBTについて触れる機会が増えていて、LGBTやトランスジェンダーに対する社会の見方が変わりつつあります。しかし、皆が気付かないところで、実は「無自覚な差別」があることを星さんは指摘します。例えば、職場での「結婚は?」「彼氏・彼女はいるの?」という会話や「○○ちゃん」「△△君」という呼び方。一見、よくある場面でも、当事者は嘘をつくより他なく「LGBTであることを知られてしまったら…」という不安からコミュニティに対して壁を作ることになってしまうそうです。

 「日本の職場では露骨な差別行為が少なく見える一方で、何気ない一言で当事者を傷つける『無自覚な差別』が多いんです。こうした職場での小さなストレスや不安が積み重なり、約6割のLGBT当事者が離職してしまうというデータもあります。でも、これはLGBTだけの問題ではないと思います。独身の人をからかったり、容姿で笑ったりする。そういう日常的なコミュニケーションが、無自覚にいろんな人が生きづらい環境をつくっています。『偏見がない』というのが本当か、自分の中の当たり前を振り返る必要が誰しもあるし、『偏見がない』ことと『理解がある』ということは別だと思います。」

 職場では、私たち一人ひとりが「もしかしたら私の近くにLGBT当事者がいるかもしれないな」と想像して、普段から「誰かを傷つける言動になっていないか」を考えながら話すことが重要だという星さん。もし、職場でカミングアウトされた場合には、相手の話を最後まで聞いて、本人の許可なく口外しないよう徹底することが大切だそう。

 「『呼称にまで気を遣うのって面倒じゃない?』と言われますけど、私はそれよりも、LGBT当事者がどんな環境や言葉、態度で傷つくのかを知ったことで、不用意に相手を傷つけることが少なくなったことがうれしい。『気を遣う』ということは、目の前にいる人を大切にすること。そんなポジティブなことだと捉えれば、面倒に感じることもなくなるはず」

「『偏見がない』は本当か、自分の中の当たり前を振り返ることが必要」