ファッション好きな人が一度は憧れるアパレル業界。華やかだけれども、数年で離れてしまう販売員も少なくない中、池田千鶴さんが目指すのは「ブランドのトップ」。その思いと走り続けられる理由について話を聞きました。

池田千鶴(いけだ・ちづる)
MARK STYLER MERCURYDUO事業部 営業
池田千鶴 1992年、兵庫県生まれ。短大卒業後、2013年、MARK STYLER入社。MERCURYDUO事業部に配属され、関西エリアで販売員を経験後、入社3年目に店長に昇格。2018年、東京本社の営業部へ異動し、現在は、営業として店舗・ブランド運営に関わる幅広い業務を担当する。MERCURYDUOのオフィシャルインスタグラマーの一人として、ブランドのPRや情報発信も担っている。

周りの意見に素直に耳を傾けて、現状打破

 「MERCURYDUOの洋服についてなら、1着1着について永遠に話せるくらい大好き! だから、自分の手で、もっとお客様に喜ばれるブランドに育てていきたい」と目を輝かせながら語る池田さん。「夢ですか? いつか、会社初の女性事業部長になって、トップとしてブランド事業を運営したい。そして、仕事を続けながら、結婚もして、すてきなお母さんになること!

 高校生の頃、雑誌やテレビで流行していた「おしゃP(=おしゃれプロデューサー)」企画に憧れ、将来はアパレル業界で働きたいと考えるようになったという池田さん。高校卒業後、短大で服飾を学び、就職活動を開始。アパレル企業を志望する一方で、大企業の一般職も受けていました。

 「就活時に、『どんな人生を歩みたいか』と考えた時、『結婚して幸せな家庭を築くこと』と『好きなことを仕事にしてキャリアウーマンになること』の二つが浮かびました。どちらが正解なのか分からなかったので、結婚生活がイメージしやすい大企業と、憧れていたMARK STYLERを受けました。両方から内定をいただいた時、せっかくチャンスに恵まれたのだから、好きなことを仕事にして、キャリアも家庭も両方を築けるように頑張ろうと思ってMARK STYLERに入社を決めました」

 入社時は、「将来はブランドの運営や新規事業の立ち上げに携わりたい」という希望を抱いていた池田さん。幅広い年代の女性から「デート服」「モテ服」としても支持を集めているブランド「MERCURYDUO」の事業部に配属されました。MERCURYDUOは、今でこそ大好きだと言えるブランドで、池田さん自らも着こなしています。しかし学生時代では金髪・カラコンの「ギャルファッション」を謳歌し、入社当時はカジュアルでモード風のテイストが好きだった池田さんは、自分の好みとMERCURYDUOのテイストとのギャップに悩んだそうです。

 そんな悩みを打開できたきっかけは、販売員として入店した店舗の先輩。その先輩は、池田さんを美容院に連れ出し、ブランドイメージに合うヘアメイクを教えてくれたり、一緒にコーディネートを考えたりしてくれました。その結果、周囲から「変わったね」「大人フェミニンも似合うね」と言われるようになり、変わっていく自分を楽しめるようになりました。

 そんな気持ちの変化は、ブランドに対する思いの変化ももたらしました。「自分を見てくれている人の意見を聞くことは大切だとと実感すると、配属先が希望通りではなかったことへの反発が、新たな自分との出会いへの感謝に変わりました」と池田さんは振り返ります。

店長にスピード昇格、そして生じた迷い

 こうして、ファッションとともに気持ちも変わった池田さんは、「まずは店長になる」と目標を定め、人の2倍、3倍の速さで出世しようと仕事にまい進。2年後、念願の店長に昇格を果たします。

 「常にプロフェッショナルであること」を信念に、チームマネジメントや接客サービスの向上に努めながら、会社主催の勉強会などに積極的に参加し、スキルと知識を磨いていきました。その一方で、9時~17時の安定したライフスタイルが送れる仕事に転職した友人の話を聞き、不規則な販売員の仕事に迷いが生じたこともあったそうです。

 「『しんどいなー』と思うことと、『楽しい』と感じることを比べてみたんです」と池田さんは冷静になって自分に問いました。「悩んだことを乗り越えるだけの魅力が今の仕事にはあると思えたんです」

 「お客様とダイレクトに接して一緒に洋服を選んだり、アドバイスしたりして、喜ばれることが楽しくてしょうがなかった。お客様から電話でその日のコーディネートを相談されることもあって、『専属スタイリスト』のように思ってもらえていることもうれしかったです。自分の素直な気持ちに気付いたら、迷いはなくなりました

「試着されたお客様が、笑顔になる瞬間が本当にうれしい」
「試着されたお客様が、笑顔になる瞬間が本当にうれしい」