メンタルケアを身近なものにしようとソーシャルメディアで発信する臨床心理士のみたらし加奈さん。今回は、「顔出し」で発信することによる変化や、多くの人が今感じているコロナ疲れやストレスへの対処法について聞きました。

上 みたらし加奈 メンタルケアのタブーや偏見打ち破りたい
下 みたらし加奈 呪いの言葉がまん延する社会で生きるには ←今回はここ

SNSだからキャッチできる声もある

日経doors編集部(以下、――) 「顔出し」で発信をすることで感じた変化はありますか?

みたらし加奈さん(以下、みたらし) 私のアカウントに対して、相談のメッセージを送ってくださる方は結構いるんです。気持ちを吐き出すメッセージだったり、ただ一言「死にたい」というだけのものだったりするのですが、誰にも打ち明けられていないような行き場のない心の声を届けてもらえるアカウントになれているというのはありがたいことですし、私の「顔」やバックグラウンドが見えているからこそ、気軽に心の内を打ち明けてもらえる存在にはなれているんじゃないかと感じています。

―― そうした声を受け取るようになったことも含めて、新しい挑戦には不安やストレスが伴いますが、みたらしさん自身が心掛けているネガティブな心との向き合い方について教えてください。

みたらし まずは「自分の心を一番大切にする」ということかなと思います。他者貢献や社会貢献をするときに、どうしても自分のことを後回しにする自己犠牲の精神が入ったり、既に持っている自分の傷を放置して奮い立たせて挑んだりしてしまうことは多いと思うんです。けれど、そもそも「誰かの自己犠牲のもとに成り立つ未来」って違うんじゃないかと私は思っていて。

 まずは、私が私を大事にしないと、社会や周りのことも大事にできていないんじゃない? と思うんですよね。だから、私はパートナーとの夜のお散歩やサウナ、メディテーションなどの「ご自愛」の時間を確保したり、疲れているときには、例えばSNSから離れるなど、疲れの原因から距離を置いたりしています。

異色の臨床心理士として、「身近なメンタルケア」を発信するみたらし加奈さん
異色の臨床心理士として、「身近なメンタルケア」を発信するみたらし加奈さん