起業は不安だから…成り行きで進もうとしてしまった

 事業プランを考えるのが楽しくなった山本さんは、そこで司法試験の勉強は中断。大学3年生になり、学生ながら起業する道を模索し始めました。人に関わる事業で会社をつくると決めましたが、起業への不安が拭いきれず、就職活動を開始。内定があれば、在学中に起業で失敗しても、会社員に転向できると考えたからです。その間、ビジネスコンテストで縁ができた企業の子会社設立プロジェクトに参画。「1年後、そのまま入社すればいい」とも考えていました。

 しかし、そのプロジェクトでは、やりたいことがあっても個人が「やりたい」と思っただけではなかなか意見が通らず、稟議(りんぎ)に時間がかかるなど、一般企業の常識にもどかしさを感じるようになりました。

 「私はまた、他人の力に頼っていました。大手企業に頼り、『安定』も手にしながら好きなことをやりたい、なんてズルい。そう思ったら、すんなり起業の決断ができました」

 1年後、卒業直前の3月、山本さんは学んでいた法律の知識を生かして、人材マッチング企業・ヒュープロを設立しました。しかし、しばらくは何をやってもうまくいきません。生活のために、本来の事業とはかけ離れたイベント集客や営業代行などに取り組みながら、人材サービスを立ち上げてはクローズを繰り返していました。

 そんなとき、山本さんは忘れられないお客様と出会います。それは、小さなお子さんを抱えるシングルマザー。自身のキャリアを生かした税理士事務所の仕事を希望していました。その思いに応えようと、とにかく多くの求人情報を送りましたが、ある日を境に連絡が取れなくなってしまいました。

 あのお客様はどうなったんだろう……しばらくして、お客様の希望条件にぴったり合う求人案件が出ました。それだけを送ってみると、間髪入れずに返信が来ました。この出来事で、山本さんは「多くの情報よりもその人に合った情報だけをスピーディーに提供することに価値がある」「士業事務所は情報が少ない」「多忙な方には従来の転職方法では厳しい」ことに気づきました。

 こうして山本さんは、「最速転職 HUPRO」をリリース。士業や士業事務所に特化した転職支援サービスです。少しずつ利用者が増えていきました。

「最初はなかなか結果が出ませんでしたが、お客様のおかげで気づきを得て、ブレークスルーできました」