自分の描いたグラレコのパワーが、物事を推進した

 グラレコを仕事で本格的に活用するようになったのは、2014年ごろ。きっかけは社外活動だった。

 週末に非営利団体「Code for Japan」のイベントに参加した際、和波さんがグラレコ実践者であることを知った運営側から、アンカンファレンス(講演者の話を聞く形式ではなく、参加者自身がフラットに話し合う、交流形式の企画)での議論をまとめてほしいと頼まれた。模造紙をテーブルの上に広げた和波さんは、参加者の発言を絵や図解で描き始めた。和波さんがメタ表現なども絡めながら何か描くごとに「(私が言いたかったことは)そう、それだよ!」 と声が掛かり、場が一気に活性化し始めた。

 「私の描いたものによって、議論が一気に加速した感覚がありました」

 その後、和波さんは会社のミーティングでもグラレコを活用してみようと思い立つ。当時、和波さんが仕事で関わっていたサービス開発に大規模なプロジェクトがあった。その定期ミーティングには、社内外から関係者約20数名が集合。毎回5~6時間の話し合いが行われていた。

 和波さんは会議時間を短縮するため、 会議で話を聞きながら事業デザインのイメージや機能構造図を描き、それを見せながら発言したところ、すんなり承諾された。「その時、それまで約1時間ほどかけていた部分の話し合いが15分ぐらいに短くなりました。情報を可視化すると物事って早く進むんだと驚きました」と振り返る。

取材時にも太いカラーペンとスケッチブックを持参。黒いペンで線を描き、カラフルに色を乗せ、グラレコを実演してくれた。通常は、スケッチブックだけでなく、ホワイドボードやiPadなど、目的に合わせて道具を決めているそう

 和波さんは、グラレコを「私にとっては第2の言語。コミュニケーションのために必要な技術」と語る。

 和波さんは、2015年6月に、DeNA社員としてオンライン学習動画サイト「Schoo(スクー)」で放映される「グラフィックレコーディング入門」に講師役として登場。2016年からはNHK番組「クローズアップ現代+」に約半年、グラフィックレコーダーとして生出演。最近は文部科学省ジュニアドクター育成塾の講師として、小中学生に「頭の中を見える化」をテーマにしたコミュニケーションデザインの授業を実施したり、高校大学でグラフィックレコーディングを生かしたワークショップ形式の授業を実施したりするなど 、順調に実績を積んでいる。