世界各地でスケッチブック片手に街頭インタビュー

 そんな石山さんの中でシェアと平和が結びついていったのは、大学時代だ。大学は平和研究ができる国際基督教大学に進学。紛争解決などを学んだが、どこかしっくりとこなかった。「紛争解決は基本的に政治的アプローチかお金での解決しかない。利害が前提となる解決手法は誰かが痛みを伴い、犠牲になる。それが平和につながるのかと疑問を持ちました」。

 平和はどうすれば実現するのか。そんなことを本気で考えながらいろいろな国を旅して、スケッチブック片手に街頭インタビューをした。「あなたにとって世界平和とは?」と聞くと、多くの人の回答が「家族と共にいること」「愛する人と一緒に過ごすこと」というものだった。「愛によってしか平和は成し遂げられないと深く認識しました。つまり個人と個人の感情がつながって、互いを思いやり、助け合うという精神、シェアこそが平和へのカギだと気づきました」

10代の頃から「平和な世界を作りたい」というビジョンを掲げ、その思いを常に抱きながら歩んできたという

 自分の考えが固まりつつあったが、大学3年生、就職活動時期に予想外の事態が起きた。それが東日本大震災だ。先行きが分からなくなり、海外に出てもう一度自分を見つめ直すことも考えた。ただ、そんな中、たまたま新卒採用の面接を受けたリクルートで当時の柏木斉社長に「多くを失った日本で何かできることがあるのではないか」という言葉に動かされ、「ここを自分の修行の場にしよう」と入社を決めた。

 リクルートでは法人営業を担当し、一通りのスキルを得たが、同時に問題意識も抱いた。企業の倫理を優先するあまり、個人にとっての不都合を生じさせることがある。不本意な転勤や異動などがそれだ。それでは社員の本当の“幸せ”は追求できない。石山さんは「個人と企業が対等の社会」を目指し、転職を決意。フリーランスで働く個人と企業の仲介をするクラウドワークスに飛び込んだ。ここでは様々な個人が自らのスキルを“シェア”して、プロジェクト単位で契約するという対等な関係が築かれている。そして何より熱い思いを抱いていたシェアエコノミーを実践する場だった。石山さんはシェアの可能性を再確認し、積極的に活動に打ってでた。