監督にたくさん叱られた 叱られたことがありがたい

――その一方で、CanCamで演じていたかわいい女子と自分との違いに悩まれたこともあったとか。

山本 そうですね。スイートな洋服を着るかわいらしい女性役だったのですが、本来の自分はそうではなかったのでギャップには悩みました。ただ、ある時、当時出ていたお芝居で共演していた方に「モデル役を演じていると思えばいいのでは?」と言われて。そう考えると、気持ちが軽くなりました。それまではプライベートでも意識をしてかわいい系の洋服を着ていたのですが、そういうことは一切やめました。結果的には8年もの間「モデル役を演じていた」ことが、役者としての糧にもなったと思います。

――映画本格デビュー作となった『桐島、部活やめるってよ』のヒロイン役が高い評価を得ましたよね。

山本 評価していただいたことは本当にうれしかったです。ただ、超える作品に出合いたいとも思っています。だから常に『桐島、部活やめるってよ』は意識しています。

――その後、演じる役の幅が広がってきました。

山本 最初はCanCamのイメージがあるからか、かわいらしい女の子の役が多かったと思いますが、医師や技術者の役なども演じるようになってきました。

 当時はなかなかうまく演じられずによく監督に叱られていました。もっと自分の芝居を客観的に見たほうがいいというアドバイスをいただいたことも。ただ、叱っていただけるのは、本当にありがたいことだと思っています。叱られて初めて気付いたこともたくさんありました。それに、現場で一つの作品に向かって、みんなで作り上げるという過程が本当に楽しくて。とにかく監督や現場の思いに応えようと必死だったので、クランクアップの時にいつも感極まって泣いていました。

現場が好きという山本さん。「作品を作り上げる過程が楽しい。裏方気質なんだと思います」
現場が好きという山本さん。「作品を作り上げる過程が楽しい。裏方気質なんだと思います」

――重要な役も演じるようになり、その分プレッシャーも大きいですよね。

山本 演じることはいまだにドキドキするので、できる限りのことはやって準備したいと思っています。セリフは完璧に覚えるだけでなく、監督にどんな動きをつけられてもスラスラと出てくるようにしておきたい。だから、目で見て、口に出して、お皿を洗いながら言ってみる。お風呂の中でも言ってみて、言えなかったらもう一度練習する。そして台本とは一緒に寝るようにしています(笑)。こうすることで、しっかりと頭の中に入ってくるような気がします。

 医師や技術者など特定の職業を演じるときはその職業について事前に勉強することにしています。一方で、ラブストーリーのヒロイン役の場合は、頭で考え過ぎず、素直な気持ちで演じたいなと。この4月にスタートしたドラマ『パーフェクトワールド』では障害を持つ主人公の恋人役を演じているのですが、そこで求められているのは等身大の女の子。だからこそ、考え過ぎないようにしています。障害者をとりまく環境がテーマになっているのですが、私自身知らないことがたくさんあり、いろいろと学んでいます。こうした新鮮な気持ちもぜひ演技に生かせればと考えています。