「この役できるのかな」と最初は恐怖心も

――小松さんはどうですか? 『渇き。』という映画で本格女優デビューされてから、様々な役にチャレンジされています。

小松菜奈さん(以下、小松) 『渇き。』では監督に叱咤激励されることも多かったです。でも、このとき学んだのはうまくいかなくても、とにかくめげずに、粘り強くやってみるという姿勢が重要だということです。いろいろな役をやらせていただくようになって、最初は「できるのかな」という恐怖心がありました。でも、「なんとかなるでしょ」と思い切ってやってみることにしています。

「役柄を通して、自分の個性を広げていきたい」と小松さん
「役柄を通して、自分の個性を広げていきたい」と小松さん

――今回ボーイッシュな役柄ですが、この仕事も新しいチャレンジの一つですか?

小松 そうですね。私は自分の個性を一つに絞るのではなく、広げていきたいと思っているんです。だからこそ経験したことのない髪型や服装で、新しい役に挑戦する。印象は周囲の人が決めることだから、自分自身はあまり気にしなくていいと思うんです。人は多面的な生き物なので、いろいろな面が見えたほうが魅力的だと思っています。

ステージでは頭をフル回転、普段はふざけていたい 

――この映画では、門脇さんと小松さんが歌やギター演奏の経験がなかったとは思えないほど、プロのミュージシャンのように見えました。みなさん、役作りや舞台に立つときの見せ方などを工夫されているのですか。

あいみょん 私はステージ前は特に何もしてない(笑)。「素」です。ふざけていることが多いです。

 一方、ステージに立つときは緊張感があって「次のコード進行なんやったっけ」って思う瞬間もあるし、間違えたらすごくイライラする。「ライブってすごいな」と自分でも思う瞬間があります。歌詞を覚えて歌って、コード進行も覚えて、MCを考えて。脳みそがこんなに動くこと無いって思うくらい動いている。だからステージを降りた後は、リラックスしてずっとおふざけをしていたい。笑っていたいし、元気でいたい。最近はちょっとうるさいって言われるけど(笑)。でも関西人だからなのか、ふざけちゃう。

門脇 あいみょんさんとななちゃんは気が合いそう! ななちゃんもすごくおふざけが好きな人なので(笑)。

あいみょん じゃあ門脇さんが板挟みですね。いまは結構抑えているんですけど、ステージに上がるギリギリまで全く関係ない話をしてる。ガハハハって笑っていて「よし、いってきまーす」みたいな感じ。だからライブをしているときが役を作っている状況かもしれませんが、それ以外は仕事の場でも素です。

自分が積極的にふざけて現場を明るくするというあいみょんさん
自分が積極的にふざけて現場を明るくするというあいみょんさん

あいみょん 取材中もすごくふざけちゃう。時々、すごく重い空気の取材とかあるじゃないですか。ありえへんくらい重いとき。そういうときは、「なんか言ったら笑ってくれるかな」と思って、一回攻撃してみる。それでだめなときは逃げるようにしています。重い空気の取材はすごく苦手なんです。私たちが楽しんでいなかったら、周りのスタッフさんも音を立てないようにとか、ピリピリと神経使ってしまって、それが申し訳ないなと思うんです。

門脇 私も役作り、教えてほしいくらいです。何をしたらいいのかいつも分からなくて……。監督の要望通りにワンシーンワンシーンを成立させることを役作りと考えていて、あまり考え込んだり、準備したりすることはしていません。台本も2~3回程度しか読まないですね。何回も活字を追っていると、頭の中に言葉でなく活字として残ってしまう。そうすると自分の中で違う感じになってしまうので、読み込まないようにしています。

小松 私はセリフを覚える。それに尽きます。口に出して言うなどして、とにかく頭に叩き込みます。台本が届いたときにまず読んで、それから何日かおいてまた読むなど、何回も確認します。夜に頭に入れておくと、朝起きたときに頭の中が整理されているので、セリフを覚えるのは必ず夜です。セリフが完璧に頭の中に入っていると、現場で相手が違うパターンできたときも、うまく切り返すことができる気がします。