嫌いだった脚が好きになった

 こうして活動を続けるうちに、藤井さんの中で一つの転機が訪れる。それは周囲の友人たちからの言葉がきっかけだった。「ずっと体形にコンプレックスがったので、日本では体を隠すようなゆったりとしたサイズの服ばかり着ていました。しかし、こちらでは脚がきれいだねと言われたり、もっとぴったりとした服のほうが似合うと言われたり、体形を冷やかす人は誰もいなかった。試しにレギンスをはいてみると、アメリカンでセクシーな自分が鏡の前にいたんです。あんなに嫌いだった自分の脚が好きになるとは、世界がひっくり返ったようでした

 体形に自信が持てるようになったとき、舞い込んできたのがプラスサイズモデルとしての仕事だ。友人から紹介され、YouTubeのプラスサイズモデルが登場する番組に出たところ、反響を呼んだ。「アジア人のプラスサイズは珍しく、注目されたんだと思います。そこからインスタグラムのフォロワー数も増え、ショーに呼ばれるなど、モデルとしての仕事が広がっていきました。自信が持てなかった体形がこんなに評価されるとは思いもよりませんでした」

現在は体にフィットする服を好んで着ている
現在は体にフィットする服を好んで着ている

 モデルとして女優としてさらに活躍したいと願う藤井さんにはもう一つの目標がある。それは日本における「美しい=細い」という価値観を変えることだ。「私自身、体形のことで悩み、とても苦しかった。細いことだけが美しいという考えを取っ払いたい。そしてかつての自分のように悩んでいる人がラクになれるきっかけを作りたい

取材・文/飯泉 梓(日経doors編集部) 写真/藤井美穂さん提供