ビューティーテック企業として注目を集めるSparty(スパーティー)で社員をしながら、自身が代表を務める女性向けマーケティング会社Pisces(ピスケス)を運営する横塚まよさん。会社員時代に挫折を経験したことから、自分らしい働き方を探し始めました。今回のインタビューで横塚さんの口から飛び出したのは自由に働くことの楽しさ・厳しさでした。

横塚まよ(よこづか・まよ)
Sparty CMO/Pisces CEO
横塚まよ 1992年神奈川県生まれ。大妻女子大学卒業。2014年、新卒でウィルゲートに入社し、Webデザイン、広報を担当。在職中にライブ配信関連事業の副業を始め、2016年COMPLExxxを設立。翌2017年IT企業を退社。COMPLExxxクローズ後、Piscesを立ち上げ、2018年よりSpartyにCMOとして参画。現在PiscesとSpartyの2社でマーケティング関連の事業を推進中。

副業・起業・兼業―自由な働き方に行きついた

 「自分の好きなこと、やりたいことに忠実でありたい」と語る横塚まよさん。

 横塚さんは現在、SpartyのCMO(最高マーケティング責任者)として活躍している。Spartyは、個々の髪質や頭皮の状態などに合わせて3万通りから選べるパーソナライズシャンプー「MEDULLA(メデュラ)」を生み出したベンチャー企業だ。

 横塚さんのCMOとしての責務は、PRイベントや店舗展開、会社のブランディング。特に得意としているのは、女性の気持ちを理解し、感情に訴えかけるマーケティングサービス。女性の心をとらえるエモーショナルな空間づくりを初めとしたイベントプロデュース、20~30代女性をターゲットとしたマーケティングコンサルティングで実績を積み重ねてきた。

 「イベントプロデュースでは、来場者に楽しんでもらうことを一番に考え、思わずSNSで発信したくなるような驚きや楽しさを仕掛けるようにしています。心から楽しめれば、自然とSNSで投稿する内容が充実してきますよね」

 例えば、MEDULLAのイベントでは大手自動車メーカーや有名ブランドとコラボレーションし、高級感のあるラグジュアリーな空間を演出。シャンプーのイベントとしては一風変わった演出が奏功し、これまで届かなかった層へのアプローチに成功した。

 その一方で、横塚さんは経営者でもある。Piscesという会社で、イベント事業やインフルエンサーのキャスティング、商品企画、SNS運用など、女性向けサービスのマーケティング支援を行っている。もともとPiscesとしてMEDULLAのリリースイベントを請け負ったことがきっかけになってSpartyに参画している。

 「SpartyでもPiscesでもイベント事業を進める上で大事にしているのは、低コストで満足度の高いプロモーションイベントを提供すること」と横塚さんは話す。Spartyでの経験がPiscesでも生かされ、また逆もしかり。

 「運用面では『体験型』のイベントでサービスや製品の良さを実感してもらうことを心掛けています。『こうじゃなきゃダメ』っていう固定観念を捨てて、『何でもアリ』って考えることが大切なのかも」と秘訣を語る。

 兼業は時間のやりくりがカギになってくる。今はSpartyでの勤務時間をコントロールしながら月1回は海外に飛び、Piscesでの新規事業の準備に充てている。そして、これまで積極的に営業せずともPiscesを続けてこられているのは、クライアントから信頼してもらい、次の案件につながっているからだという。

 好きなことを仕事にし、パラレルワーカーとして働く横塚さんは「今、ベストな生き方ができている」と笑顔で語る。

 しかし、ここに至るまでには、「会社員として生きたい」気持ちと「やりたいことをやりたい」思いの狭間で深く悩んだ。また、副業・起業・兼業を経験する中で、仕事量が増え、自分自身を追い込んでしまったこともあるという。

「成果を出したい、認められたいという気持ちが強く、悩みは尽きませんでした」
「成果を出したい、認められたいという気持ちが強く、悩みは尽きませんでした」